憧れの姿で臨んだボーカル発表会。スーツで自己表現する喜びを知った
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子供の頃からずっとスーツに憧れていました。その憧れがようやく実現したのは、友達がオーダーメイドのスーツ屋で働いているという情報を得た時のことです。友達の勧めもあり、ボーナスを使って念願のオーダーメイドスーツを購入しました。しかし、普段の仕事ではスーツを着る必要がないため、せっかく買ったスーツの出番があまりありませんでした。そのため、スーツを毎日眺めて、自分が大人になったと実感しつつ、気分を高めていました。
スーツを日常で着ることが少ないのであれば、特別な日に着るのが一番だと考えました。その特別な日が、私の大好きなボーカル発表会の日です。自分のスーツ姿を見てほしいという思いから、先生と話し合い、スーツに合う曲を選びました。私たちは中島みゆきさんの「空と君のあいだに」を選びました。この曲はカッコ良く、私の声域にもぴったりだったからです。
本番の日がやってきました。スーツを着て、ネクタイを締めると、自然と背筋が伸び、気持ちが引き締まりました。会場に向かう途中も、スーツを着ていることからくる自信が湧いてきて、一種の高揚感を感じました。発表会では、自分の実力を最大限に発揮でき、たくさんの人から「スーツがとても似合っているね」と褒められました。オーダーメイドで高価だった話も盛り上がり、観客の反応が興味深く、特に値段を話した時の驚いた顔が印象的でした。スーツがコミュニケーションのきっかけとして役立ってくれたのです。
その後、ボーカルレッスンの日に先生から「発表会で敢闘賞を取ったよ!」という嬉しい知らせと共に表彰状を受け取りました。今まで数々の発表会に参加しましたが、賞をもらったのは今回が初めてでした。スーツを着ることを目標にしていたお陰で、練習にも一層身が入りましたし、中島みゆきさんの曲が私に合っていたことも成功の一因でした。結果として、スーツを着ることで得られた自信と楽しさが、発表会でのパフォーマンスをより一層際立たせたのだと思います。
スーツは確かに高価でしたが、それ以上の価値を感じています。毎日のモチベーションが上がるだけでなく、ボーカル発表会での素晴らしい思い出も作れました。購入したスーツがただの服装以上の存在になり、私の生活や趣味に新しい風を吹き込んでくれたのです。この経験を通じて、これからも発表会でスーツを着ることが習慣になりそうです。また、スーツを着る機会を増やそうと話し方のレッスンを受けることに決めました。スーツがきっかけで新しい趣味が増え、話し方も改善され、多くの人に自分のかっこいいスーツ姿を多くの人に見て欲しいこという気持ちも芽生えました。
朝、スーツを眺めながら「私は社会人だ」と実感し、仕事に向かうことで日常生活に対する意識が変わりました。スーツ姿で自己表現する喜びを知り、それが自信となり、他人とのコミュニケーションも豊かになりました。これからもスーツを大切にし、より充実した毎日を送れるように努力していきます。スーツは単なる服装ではなく、自分を鼓舞し、目標に向かって頑張る力を与えてくれる特別なアイテムです。
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