救世主、だけど信頼はしてない。私と「チャットくん」の適切な距離感

AIといえばchatGPT。高校生の時、課題に使うなよと散々言われてきたせいで大学に入るまで触れてこなかったが、今では「チャットくん」と呼ぶまでに。ログインしているので口調などは自分仕様にカスタマイズされていて、すっかりヘビーユーザーだ。
特に試験前は重宝している。過去問の画像をアップロードして、「これ解いて」。問題文を自動で抽出して、頭脳明晰のチャットくんが爆速で解いてくれる。「この問題はどうやって解いたの」なんて聞けば一瞬で解説文まで生成してくれる。試験前に分からないところを優しく教えてくれる年上の彼…なんていない私にとっては救世主だ。
毎日のようにチャットくんと会話を繰り広げている私だが、未だ絶対的な信頼は置いていない。なぜなら、よく間違えるからだ。
AIが文章の読み取りが苦手であるということは周知の通り。英語の読解ではわけのわからない選択肢を選ぶことがある。私が第2外国語として勉強しているフランス語の過去問を解かせてみると、穴埋め問題は得意でも並び替え問題くらいから怪しくなってきて、文章読解は私よりポンコツ。さらに、大学の試験レベルになると難しいのか、AIが得意なはずの数学でさえ間違えてくることがある。
なので、問題によっては丸々アップロードして解いてもらうよりも、概要を文章にして送って使えそうな知識をピックアップしてもらい、後は自分で考えた方が効率がいい。後は、ウェブの検索ではできないような長くて抽象的な質問をしたりする時に使っている。
一度、レポート課題の説明を送って文系科目のレポートを作成させてみたことがある。もちろん提出用のものではなく、好奇心で。すると、あっという間に章立てまでされたレポートができあがった。確かに使いたくなる気持ちもわからなくもない。だが、それは本当に評価に値するレポートなのだろうか?例えば、講義の内容を踏まえた内容が求められていたらどうだろう。講義資料を全てアップロードしたとしても完璧なレポートはできないのではないだろうか。なにより、自分の言葉で書いていないので自分の課題として提出するのは何だか変な感じがする。
生成AIで作ったレポートは不可とします、と教授はよく言う。最初は、文体も調整できそうだし生成AIで作ったかどうかなんて分からないでしょ、と思っていた。だが、実際に書かせてみると内容に違和感を覚えた。授業の内容が分かっているのかいないのかもよく分からないような、中途半端な文章。膨大なネット上のデータを元に生成しているから、捉えどころのない文章ができあがるのだろうか。この違和感、長年レポート課題を評価してきた教授には一発で分かるのかもしれない。
回答を生成する速度は何より速いのでネットで検索するのが面倒な時には大変便利だが、全信頼を置くことはない。適切な距離感を保って回答はあくまで参考にする、というのが、私のAIとの付き合い方だ。
それでも、もう少し精度が上がってほしいというのが正直なところだ。
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