「見捨てられ不安」を知り、心のざわざわを客観視できるようになった

相手の顔色や機嫌に敏感になり、自分の心が不安定になる……。
こんな気持ちに共感してくれる人は多くいるだろう。
しかし私の場合、表面上さっぱりした性格の内にこの重たい繊細さがあり、それを自覚していなかった為、大人になってこじらせてしまった。
学生時代の私は自他共に認める、細かいことは気にしない、さっぱりした性格の持ち主だった。
誰かや何かに固執したり、恋愛にのめり込んだり、お付き合いの末の別れにひどく心をいためる……そのような経験がなく、むしろそんな人たちを見て「大変そうだな」「生きにくそうだな」と思っていた。
この性格の原因は幼少期にあると思っている。転勤族だった私は転校が多く、友人や先生との別れを多く経験した。親しくする人はいたが、心のどこかでいつかは離れるのだろうなと冷めた気持ちも持っていた。おかげで今過ごせる時間を大切にしようと子供ながらに思えていたので、それはよかったと思う。
転勤族だけならば良かったが、両親の離婚も経験した。
恋愛して、運命の人と結婚をしても現実こんなものかと、恋愛にも冷めた気持ちをもった。
それでも私は周囲の人に恵まれ、人が好きだと思えている。友人やパートナーと過ごす時間に距離を置くことはなく、むしろ大事な人と一緒にいる時間が生きがいだと感じていた。
大学を卒業して、社会人になった時に、私はかつてないほどの大恋愛をした。
今までは告白をしてもらって付き合う中で相手のことを好きになっていくタイプだったが、初めて自分から大好きになった。
コントロールできない感情に出会って、私が私でなくなってしまうような不思議な感覚で、恋愛にとても不器用になった。
冒頭に書いた「相手の顔色や機嫌に敏感になり、自分の心が不安定になる」ことが毎日のようにあり、些細な喧嘩も別れてしまうのではと不安になった。
楽しいはずの恋愛が、傷つくことや別れに臆病になり、楽しめなくなった。
なぜこんな自分になってしまったのかと調べていく内に「見捨てられ不安」という言葉に辿り着いた。
私と同じような感情がある人は一度調べてみて欲しいのだが、簡単に説明すると、家族や恋人など親しい人から見捨てられることを過剰に恐れる心理状態であり、幼少期からの親子関係や、トラウマなどが原因になっているといわれているそうだ。
自分に当てはまり過ぎていて、そして、同じ不安を抱えている人は他にもいるのだと分かって少し気持ちが楽になった。
体調不良に病名がつき、原因がわかると安心するように、私自身、この感情に名前がついたことで必要以上に自分を責めなくなった。
彼には申し訳ないことをしたが、おかげで私は自分自身を知ることができた。
今は不安になったり、心がざわざわする時には、「今日はそんな日なんだな」と客観的に捉えて、いつも以上に自分に優しく、時には甘やかして過ごしている。
この「見捨てられ不安」への対策方法は、ずっと諦めていた生理前の気分の落ち込みにも有効的だった。私は自分の感情の波で誰かに影響を与えてしまっていることに対して、自分を責め続けてきた。今思うと悪循環を繰り返してしまっていたように思う。
ネガティブな感情も案外簡単に、ポジティブに受け入れられるのだとこの経験を通して学んだ。
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