日本を、世界を、もっと広く知ろうという意識が私を少し大人にさせた

お酒を提供するお店で働いていると、来るのは自分よりも年上のちゃんとした大人ばかりで、彼らの話のレベルの高さに惚れ惚れする。株価やFXの話、政治や税金の賛否、あるいは健康の心配etc……。知らないワードが飛び交う中で、私は数十年も経たずに彼らと同じ歳になるのにこうなれるだろうか、と己の経験値の浅さを顧みてしまう。
去年、都知事選や参院選は私にとって身近なものだった。選挙のお知らせと投票券が手元に届いた時点で、私はその選挙に誰が立候補しているのかも、私の考えと近しい立候補者がいるのかすら知らない状態だった。
そういう自分に危機感を持った。
まだ若手と言われる年齢とは言え、三年前に成人式を終えてしまった私は世間では立派な大人である。生意気な幼稚園児からオバサンと呼ばれても仕方ない年齢ではある、と思う(断じて認めたくはないけど)。
そんな私が選挙のことを何も知らないのは、もしかして恥ずかしいことなのではないかと。
とりあえず、立候補者が誰なのか、その人の公約は何なのか、その人の議会での態度など、自分が投票する上での判断材料をネットでかき集めた。今では「選挙 まとめ」で調べるだけで簡単にわかりやすくまとめてくれているサイトがありふれている。そこである程度吟味し、迷う場合は旧Twitterで立候補者の名前で検索した。それだけでいろんな人の意見が見れる。便利な世の中になった。
そうして選挙のことを調べると、自分が住んでいる国に対して知っていることが少なすぎると実感する。世界地図で見ると小さな島国に過ぎないこの日本についてさえ、私はあまりにも知らなすぎる。そして世界は日本の比にならないほど広く、ニュースで報じられている出来事はほんのごく一部だ。
だから一日に一度、私は政治や国際情勢について考える時間を作ることにした。仕事の休憩時間でも、寝る前でもいい。一日のごくわずかな時間でもいいから、私は自分の住んでいる環境をもっと広い目で俯瞰的に見ようと。
現在、国内で注目されている出来事と言えば政権交代のことで、世界で注目されていることはロシアとウクライナとアメリカの関係だ。例えば今、これらのことについて話し合いましょうと議論を開始されても私は困らない。いくらでも話せる引き出しがあるというのは私を少し大人にさせた。
もちろん同年代の中にはこういうことについて話題を振ると、全くわからないという反応をする子もいる。それは少し前までの私なので決してバカにはできないし、日本が平和な証拠でもある。でもそれが今は悪い面としても見れてしまう自分が少し誇らしい。
大人になる上で嫌でも見なくてはいけない現実、興味がなくても知らなくてはいけないことがある。学ぼうと思うきっかけが、私の場合は「恥ずかしくない大人でいたい」という単純な動機だった。
年齢に見合う見識を持っていたい。そのために私は、良い意味で若手の意識を卒業したのだと思う。
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