全員が全員、「今まで」を疑えるようにならないと社会は変わらない

生理痛なんてものは、ないものとしていた。痛いって思っても、どうしようもないし。
中学のとき、なぜかサッカー部に入った。運動音痴で、ボールを蹴ったこともなかった。
基礎練習はするけど、実践はゴール裏でボール拾い。試合も練習試合に1回出ただけ。
先生もサッカー協会に登録してくれなかった。自分でも「女子はサポート」なんて思っていた。
登録がないから、そもそも試合に出る資格がない。チームメイトの男子がみんなで先生に抗議してくれたとき、男女差別だったと気づいて苦しくなった。
それでも続けてこれたのは、まわりの男子が「わたし」という存在を認めてくれていたから。毎日運動が好きになっていく自分に自信をつけてくれた日々だった。
月日がたち、他のサークルに目もくれず、大学で女子サッカー部に入部したわたしは中学のときとは体の状態が違うんだと気づいた。体格が大きくなっただけではなく、確実に「女性」の体になっていた。
激しいスポーツをしているから生理不順で、予定通りこない月は不安にもなる。でも、生理痛なんてものは、ないものとしていた。体にボールも当たるし、シュートストップで飛べば地面に落ちる衝撃もある。
痛いって思っても、どうしようもない。生理だろうと、体が重い日があろうと、この毎日をやめたくなかった。サッカーができる毎日が愛おしかった。
でも、そんな毎日が祟ったのかもしれない。この歳になって生理がしんどい。
鎮痛剤も飲むし、イライラして家族にあたるし、動きたくない。はて、体が弱くなったのか、それとも今までも本当は苦しかったのか。
最近になって重い偏頭痛持ちだったことが判明した。頭痛は時々あったけど、みんなも同じだと思っていた。倒れてからわかった。はじめて「死ぬかもしれない」って感じた。
そのときのわたしは、起き上がれない状況で、ベッドでパソコンを開いて仕事を続けようとしていた。上司は優しいし、別に強制されたわけでもなかった。
このとき、わたしを動かしていたものは何だったのだろうか。
世の中の女性たちは、何かと戦っている。自分ではない何か、見えない圧力のような何か。
女性だから仕方ない。母はこうなのが当たり前。この仕事は女性がやるもの。抗うとさらに強くなる圧力。時短で働いたら年収は下がる。子供のお迎えで頭を下げる同僚。
痛みやだるさは言い訳なのか。両立のために働き方を変えるのは逃げなのか。
パートナーが夜遅くに帰宅するから、家事育児がワンオペ。女性の社会進出・管理職なんてやってられない。おそらく、みんな感じている。
自分も早く帰らないと。でも、そんな雰囲気じゃない。帰りづらい。上司は「男性は仕事、女性は家事」と考えている。
全員が全員、「今まで」を疑えるようにならないと変わらない。「男女」というバイアスを減らしていかないといけない。
自分を二の次にしてしまう女性たちが、自分を大切にしたいと気づき始めている。それは決して「甘え」なんかじゃない。
と、いろいろ語ってみたけれど、結局のところ、自分を動かす原動力があれば誰でも進んでいけるんだろう。男女なんて関係ない。
迷子になっても、「わたしが大事にしたいのはこれだ」とわかっていれば進んでいける。ある意味、抗うものがあるからこそ、それが女性には見えやすいのかもしれない。
わたしは今、盛大に転職活動に失敗している。わかっている、目指す先が世の中的にほんとわがまま。家庭のことと自分のキャリアのこと。全部あきらめてたまるか。正直しんどいけど、真っ向から抗っていこうじゃないか。
あぁ、わたしは強いのかもしれない。
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