「29歳のレッテル」を貼ってくる人達を斬り捨て、未来へ進み続ける

29歳と3ヶ月。
結婚、出産、キャリア、その手の話題に胃もたれするには十分すぎる3ヶ月だった。
「早くいい人見つけなきゃ」
「同期もたくさん結婚してるでしょ?睡蓮ちゃんはまだなの?」
「そうなんですよね〜」
「あんまりモタモタしてると置いていかれるよ?」
「そうなんですか!なるほど!」
帰りにアイス買って帰ろ。ジャイアントコーンプレミアムにしよ。
真剣な相槌を打つアカデミー賞級演技の私と絶対零度で独り言を呟く私。
2人の狭間で、両者を笑う素の私がふと込み上げるが強制的に押し込める。
帰りの地下鉄でSNSを開いても、出てくるのは同じ話題ばかり。
飽き飽きしてすぐにスマホを閉じる。
もういいって。
夜中にアイスにかぶりつく、その瞬間だけは29歳というレッテルから解き放たれる。
胃もたれした翌朝にはまた年齢を感じるのだ。
今だけは馬鹿やってもいいだろう。
コロナ以前の2010年代すら過去扱いされるほど凄まじい速度で社会が変化する現代。
便利ツールを駆使する一方、無くならない旧石器時代レベルの人生価値観。
かつて謳われてきた幸せ人生年表に固執、強要する大人に一言お伝えしておく。
自分のOSをアップデートしないのは自由だが、他人のOSに干渉してくれるな、と。
食べるものに困らない、寝ることに困らない、生活をすることに困らない。
紆余曲折あったが、人間としての尊厳を保つことができる最低限の生活を送ることが難しく無くなった時代、それが現代であると私は認識している。
一昔前は食べ物に困っていたというのだから、人間の進歩というのは本当に著しい。
コーヒー片手に自分の思想を社会に発信できるありがたさは、日々を生きている中では当たり前すぎて息をすることと同じだが本当は感謝すべきことなのだと思う。
過去の幸せ指標を否定することはない。
その当時を生きる人々が人間として幸せになるために考えられた指標であり、その時代を生きた先人のおかげで今があるのだ。
時代は変わっていく、であれば私たち次代を生きる人々のために世界を、価値観をアップデートすべきだろう。
身体上の性別を変えることができる。
同じ身体上の性別の方同士でも愛し合うことができる。主張ができる。
結婚、出産をせずに仕事に一生懸命取り組むことができる。
もちろん、好きな人と結婚して出産して家族として生きることができる。
様々なレールを自分で選択できる、自分でレールを敷くことができる。
1本の大きな人生のレールに乗らなくても私たちは幸せになれる。
人の数だけ幸せの価値がある。
自ら幸せを狭めなくていいのだ。どんな形で幸せになってもいいのだ。
他人の価値観を変えることはできない。
彼らの幸せの価値が過去の幸せの価値観と同じであることに反対はしない。
ただ、他人に強要するとなれば話は別だ。
「29歳なんだからいい人見つけないと」
私は私だけの29歳に満足しているので結構なんです。
欲しくなったらそこから頑張って探しますのでほうっておいて。
「あの子は今産休に入ってキャリアを捨てる気なのかな」
凄まじく余計なお世話ですし、彼女が納得しているのだから応援してあげる方がお互いに気持ちよく生きていけますよ。
それに自分の幸せに時間を割いた方が有意義な時間を過ごせると思うのです。
今日もアイス確定だなと思いつつ、他人の幸せに干渉する人間をバサバサと斬る。
私たちは進み続ける。
時代に取り残された人間を残して、私たちは進み続ける。
私たちは幸せになることができる。
まだまだ課題の多い現代ではあるが、足を止めなければどこかには辿り着く。
山谷あったが時代は進んできた。
より良い世界を望む人間の本質が私たちを強くする、時代を強くする。
今日も進み続けよう、より良い未来を目指して、幸せな人生を目指して。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
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