私は生粋の東京生まれ育ち。大学を卒業し、1社目までは東京にいた。でも、20代半ばで、一度、地方に単身転職をして、来たる30代を前に、また東京に戻ってきた人間だ。
一度、東京を離れたことで、東京の良さも地方の良さも両方とも経験した。

30代を前に、今の私は、今お付き合いしている彼と結婚したいなと思っている。
彼は、仕事柄、40歳くらいまで、全国どこに行くかわからない。地方を転々とするかもしれない。
となると、子どもを持ちたい私は、彼に帯同して、見ず知らずの全国を転々とすることになると思う。なので、仕事は、リモートワークできる仕事を選ばないといけないと思っている。

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「彼のために、どこまで自分の人生を妥協できるかわからない」

以前、私の1社目の同期がそんな風に口にしていた。
当時、その彼女は社内で国際恋愛をしていたので、相手の男性に合わせて、日本を離れる選択肢も2人の中にはあったそうだ。でも、彼女としては、見ず知らずの遠い国には行きたくない。日本でこのままキャリアを積みたいと考えていたようだ。
自分のことに置き換えると、このままいくと、たしかに私は彼に帯同する人生になると思うので、仕事面や環境面では、彼に合わせ、フレキシブルに動かないといけないことになる。

でも、なぜか今の私の心の中では、そんな選択肢をとっても、「彼のために、自分が妥協した」という風には思わない気がするのだ。
むしろ、彼と健やかな明るい家庭を築くために、自ら彼の元に移動したんだと思うくらい、勤務地がどこになるかわからない彼に帯同するのが、自然なことに思える。
それくらい、今の彼といると、居心地がいいし、会っていない間もお互いまた別の地で頑張ろうと思える関係性だ。こんな関係性を築ける彼と、いま一緒にいられることを、私は天に感謝している。

「関係性って2人でつくるもの。お互いの意思を受容し合い、築き上げていくもの。そこには、丁寧さや誠実さなど、人としての向き合い方と態度が必要」という風に、彼と出会って感じるようになった。そんな関係性を築ける彼と出会えて、私は幸運なんだ、と時々、ふと思うことがある。

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物理的な勤務地や居住地は関係ない。そこで一緒に暮らす人や過ごす人と、どんな関係性が築けるかや、どんな関係性でいられるかの方が、自分にとっては大事だと知った。
会社や実家など、今いる環境が温かく居心地が良い場合で、どうしても転勤や転職をしないといけない場合でも、また、その新天地で、「いれて良かった」と思えるような関係性が築けるといい。
そんな関係性が築ける人たちと出会える、そんな選択ができるといい。

私の場合、今の彼と結婚や出産をして将来、一緒にどこかへ帯同することになっても、仕事の楽しさを忘れたくない。
私の場合、「営業成績で好順位をとること」「その結果、人より高い給与をもらうこと」などでなく、ただ単に「目の前のお客さんに喜んでもらうこと」「お客さんと人として仲良くなり、信頼できる長期的な関係性が築けること」など、競争を勝ち抜くというより、喜びのポイントが、人と良い関係を築くという、人に依存する部分が大きい。

そういう人は、仕事相手によりモチベーションを維持するのに波が出るのでは?という人もいるが、それだけ関わる人に対し誠実でありたいし、それだけ良い人と出会いたいとも思う。
そうなると、別に、生まれ育った東京に固執しなくてもいいのではないかな、と地方転職も経験して、思うようになった。