私は周囲の人から広く浅く友人関係を持つタイプと思われているらしい。一度それを誰かに指摘されて思わずムキになって言い返したことがある。私にも深い関係の友人はいる、と。確かにその子のことについては他の友人にはあまり話したことはなかったかもしれない。

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その時頭に浮かんだ深い関係の友人は、高校の頃の友人、A子だった。A子とは高校時代に喧嘩と仲直りを経験し、卒業後も付き合う仲となった。気がつけばなんでも言えるようになっていたし、人に行ったら嫌われるような相談できるようになっていたし、他の人とは一緒にできないこともできるようになっていた。

ただ彼女は私と違って体力がなかった。毎日のように連絡をとっていたり、電話をしていても夜遅くになることはなかった。当時、体力の有り余っていた私に取っては少し物足りなかったと記憶している。

そんな彼女とゆっくり電話ができたタイミングがある。それは私がアメリカにインターンシップで行っている時だった。時差の影響で私が夜のタイミングで日本は夕方。電話をするには絶好のタイミングだった。

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まさかそんな時差という形で逆に電話ができるとは思っていなかったが、毎日アメリカ時間で朝方になるまで電話した。インターンシップに参加していたにも関わらず、いつものように私は体力が有り余っていて、日が登って明るくなるまで電話してもそのまま仕事をすることができた。

朝までおしゃべりをしたり、無駄に起きていたり、課題をしたりしていた経験は何度もある。それでも私は朝まで起きていた経験というと、彼女とアメリカからの電話を思い出す。それだけ彼女と電話ができるのは特別だったし、幸せだったのだろう。

彼女との付き合いは社会人になってからも続いた。お互いに精神的にやられた時は相談しあった。そのうち海外旅行に一緒に行こうか、という話も出てくるようになった。あのインターンシップの土地に一緒に行けたらどれだけ楽しいかな、とよく空想した。社会人になってからはお互いに体力的にもしんどくなり、滅多に電話はしなくなった。メール連絡はするもののそれくらいで、会うこともままならなくなった。それでも心のどこかで彼女と繋がっているんだ、と思っていたと思う。

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今ではその彼女とは連絡が取れなくなってしまった。主に私のせいだ。彼女に体力がないこと、そしてそれを気にしていることをすっかり忘れて、無理をさせてしまっていた。後悔しても仕切れない一言を彼女に言ってしまった。いつかまた連絡が取れるといいなと思いつつ、あの電話していた時のアメリカの朝の風景は一生忘れられないと思う。