小学校から中学校へ異動。「私」を知ってもらうことで縮まった距離

あなたは普段、どれくらい人に挨拶していますか?
私は4月から中学校で働く保健室の先生。つまり養護教諭。今まで小学校で働いていて、初めて中学校に異動し、まだ1ヶ月も経っていない。
私の中で中学生といえば、反抗期!思春期!難しい!のイメージ。実際働いてみると、半分正解、半分不正解といったところだろう。多分。
最近、生徒との会話の難しさを感じている。まだ中学生との会話スキルが低い私は、話しかけても一問一答で終わってしまう。
「おはよう!」「おはようございます」
「何の部活入ってるの?」「バスケ部です」
「部活楽しい?」「楽しいです!」
……
この有様である。
小学生だったら、挨拶しただけでその日の朝食から放課後の過ごし方まで教えてくれる、そんなコミュニケーションが中心だったから、生徒との会話に難しさを感じていた。
そんな私の嬉しかった話。
どうにか生徒との距離を縮められないかと思い、まず、生徒を知るために授業を観に行くようにした。健康観察を回収しながら、教室にお邪魔し、にこやかに生徒の様子を観察。
私と目が合って、会釈する生徒もいれば、すぐ目を逸らす生徒、誰だこいつ感満載の表情をする生徒と様々。まだ中学校独特の雰囲気に耐性がついておらず、時々心折れそうになる。
今思えば、自分が中学生の頃、教室に養護教諭が来たことなんか無かった気がする。もしかしたらあったのか?でも記憶に無い。授業中に養護教諭が教室に来たら、珍しー。としか思わなかったかも。
話し合い活動では積極的に声をかけた。相変わらず一問一答を何人とした。明るく答えてくれる生徒も数人いた。それが、まず、嬉しかった。
引きで授業を観ている時感じた。どの生徒も、おそらくこれが”本来の姿”なんだなと。私と話す時は固まっていた生徒も、楽しそうに授業を受けていた。いいなあ。私もこれくらいの表情を引き出したいな、と素直に思った。
その日の昼。
私は給食の配膳見守り担当なので、配膳当番の生徒と少し交流する時間がある。
そうしたら、「こんにちは!!」
いつもより元気な挨拶をしてくれる生徒たち。
あれ?どの生徒もみんな昨日より明るい。あれ、なんだろう、嬉しい!ワクワクした。私の表情も明るくなった。
他の生徒も、作業的ではなく、”私”に対して挨拶をしてくれた。午前の授業で私と目が合った生徒もいた。なんだか少し、心の距離が縮まった気がした。会話をする時間はあまりないから、挨拶だけのやりとりだけれど、この日は明らかにいつもと違うと感じた。
私が授業を観に行くことで、生徒にとって少しは私という人物像がみえてきたのかもしれない。少しは安心出来る存在だと思ってもらえたかもしれない。それが明るい挨拶に繋がった、のかもしれない。というかそうだと思いたい。いや、思う。
少しの時間だが、その挨拶で通じ合う時間がとても嬉しく、幸せに感じた。
なんというか、ちょっと認めてもらえたかも!感。
この日は挨拶だけだったけれど、新学期始まったばかりでまだまだ時間はあるし、道のりは長い。一問一答じゃなくて、もっともっと距離を縮めて会話したい。
私の改善すべき所はたくさんあるけれど、この日のような喜びを積み重ねて、生徒と一緒に成長していきたいな。
最近の嬉しかったこと、素敵な挨拶。
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