リモートも羨ましいけれど。しんどくて楽しい今の仕事を誇りに思う

羨ましい。本当に羨ましい。仕事柄、家を出ないと働く事が出来ない自分にとって「リモートワーク」とはまさに夢の言葉である。
そんな私は今カフェで働いている。家にいると成り立たない仕事の一つである。ああ、いいなリモートワーク。
まず、服を考えなくていい。前の晩から明日の出勤服は何にしようか。明日は寒いか、暑いか。なんて悩まなくてもいいのか。電車に乗って割と田舎にある自宅から都会のカフェへ行かなければいけないので私服はかなり気をつけている。あまり緩い格好をしていると自分が恥ずかしくなるからだ。他人の目を気にしてしまう。
そのせいで遊びに行く時と仕事に行く時の格好がごっちゃになってお洒落が分からなくなってきた。遊ぶ時に着ようと思っていた服を仕事の時にうっかり着てしまい、洗濯が追いつかなくて結局諦める事もある。
パジャマで、もしくは上半身だけしっかり服を着て勤務できる自宅勤務ほど素晴らしいものはない。何も考えずに、誰の目も気にせずに、起きて数分で仕事に集中できるからだ。
経験が無い私の想像だが、珈琲を飲みながら時にはドーナツを食べながら座って自分のペースで仕事が出来るのも素晴らしい。
九時間立ちっぱなし労働は足が毎日悲鳴をあげる。お腹が減ってもランチタイムは忙しくて休憩に行けないし、美味しそうなご飯を作りながら「お腹減ったなあ」で頭の中が一杯一杯になっている。
でも、一つ幸せなことがあるとすると賄いが付いていることだ。これは本当に働くカフェによる。無いところもあるし、これしか食べちゃダメと制限されているところもある。
私が働いているカフェは先輩が店にある材料で色んなご飯を作ってくれる。オムライス、チキンのオープンサンド、親子丼、キーマカレー。ミンチが無くても鶏肉をミキサーにかけてミンチにしてくれる。本当に発想力が凄くて憧れの先輩だ。
「今日はなんだろう」とルンルンで出勤できるのは逆にリモートワークでは味わえない。
以前リモートワークをしている友達が「今日一日誰とも会わなかった」と呟いていた。ああ、そうか。家にいる=人と会わないということなのか。正直体験してみないと分からないけど、それはそれで少し寂しい気もする。
誰かと目を見て話して笑い合う。今日は寒いなあ、今日はちょっと雨が降りそうだ。これは家を出て出勤しないと味わえない事だ。
私は今の仕事を誇りに思うし素敵だと思う。お客さんと会話したり、スタッフと協力しながら仕込みなどを決められた時間内に終わらせていく。時には、火傷をしたり失敗したりもする。毎日同じ時間に同じ作業は決して無い。しんどくて楽しい、と思う。
勿論、リモートワークに対して羨ましいという感情はこの先もきっと心の何処かにあると思う。それでも私はこの仕事を続けたい。外に出て、誰かに会って話して、手も足も使って仕事をする。ああ、今日も仕事頑張ったな、と体全体で感じたい。ああ、でもやっぱり良いな。
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