「Z世代だから」と言われないように。職場では最大限の気を遣う

「はじめまして」
隣の席にいた先輩は女神か天使のようだった。
美しい上に優しくて、面白さも兼ね備えていて、もちろん仕事もできる。
お局もいないらしい。
今度の職場は大当たりだ!
だけど私はここでも気をつけなければいけないことがある。
それは
「Z世代だね」
「これだから若者は」
この2つを言われないようにすること。
だから「帰っていいんだよ」と言われても、残業してひとつでも、いやふたつでもみっつでも仕事を終わらせてから帰るし、「夜ごはんに行かない?」と誘われたのなら「行きます!」と答える。
手が空いたらすぐに新たな仕事を探すし、先輩にも聞くし。
でも質問しすぎないように、しっかりメモを取ったり自分で調べたりするようにしている。
雑用だって進んでやるし、もちろん身だしなみも言葉遣いも気をつけるし、上座や下座、名刺の高さだって。
話し方や声の大きさ、文字の大きさだって気をつける。
前の職場では、文字の大きささえも「若者だから」にされたから。
「今回のポスターは若者が作ったから、見づらいね」とまた言われてしまわないように。
それでも、いくら気を遣っても、どうしても私は21世紀生まれの令和を生きるZ世代で、若者だ。
それは変えようのない事実で、第一印象は最悪なのかもしれない。
履歴書を見れば転職だってしているし。
それに正直、コロナ時代を過ごしたせいでマスクは永遠につけていたいし、笑顔を保つ筋力もない。
マスクの下は無表情でいい。
けれどやっぱりマスクは、もう外した方が良いのかもしれない。
上司も先輩もマスクを外している。
笑顔で話している。
会社との距離感は難しい。
近づきすぎると、つらくて苦しくて、遠すぎても、それはそれで孤立してつらくて苦しい。
だけどマスクは良い距離感をとれる。
素の自分とは違う、会社用、外用の自分になれる。
だから好調じゃないときや疲れたとき、私はマスクをつけて会社へ向かう。
マスクは私を守ってくれるから。
だけど今回の職場でも聞こえてくることがある。
営業の方が来て上司と話す。
「最近の若者は残業しないんですよ。定時が来たらすぐ帰る」
「古き良き時代が懐かしいですね」
いくら頑張っても、いくら残業をしても、「最近の若者」というレッテルが剥がれ落ちてはくれない。
私のことを話しているわけではないのに「最近の若者」に該当するから体が強張る。いつも以上に残業したくなる。
残業代を申請せずに残り続ける。
「Z世代は」って言われたくない。
「若者は」って言われたくない。
上司や先輩との距離感も気をつけなければいけない。
打ち解けすぎても良くないし、堅苦しすぎても良くない。
先輩とは、仕事の話ばかりではなく、休み時間や余裕のあるときの会話に、たまに少しの冗談を交える。尊敬の念は示すべきなので、冗談といっても自分の自虐やちょっとしたことばあそび。
上司とは、飲みの時などに面白いエピソードをいくつか入れる。もちろん敬語は忘れずに。
21世紀生まれのZ世代、令和を生きる若者の私だから気をつけなければいけない。
他の方たちよりも、仕事への意識を持っていることを示さなければいけない。
意識は、上司や先輩との接し方、会社との距離感の取り方にも出るのではないかと思う。
人は、先入観のまま相手を見てしまうから。
大きな一括りの言葉で、テレビでもネットでも世代を表現されてしまうから。
私はZ世代で若者だけどその前に、社会をまわすひとりなのだから。
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