すてきなお姉さんたちに出会い、年を重ねることが怖くなくなった

いま、わたしは31歳。今年で32歳になる。中高生の頃は、きっと25歳くらいには結婚して、28歳にはもしかしたらママになっているかも、なんて想像したりしていたが、まったくもってその通りになっていない。独身で、会社員をしていて、でもバリキャリといえるほどキャリアを積んだわけでもない。そして、案外そんな自分の人生を悲観していなくて、毎日それなりにたのしく過ごしている。
年を重ねることが、前より怖くなくなった。その理由を紐解くと、数年に一度くらい、自分にとって節目となるときに、すてきなかっこいいお姉さんたちに囲まれていたことに気づく。
一度目は21歳、大学生のとき。当時大学では「一姫二花三ババ四しかばね」などという揶揄が飛び交っていて、自分の持つ若さ、すなわち若さゆえの美しさを失っていくことを、わたしは恐れていた。同時に、今持っているものを最大限に活用しておかなければ、という焦燥感にも駆られていた。そんなときに始めたアルバイトで、出会ったのは20代後半の美しく、強く、凛としたお姉さんたちだった。彼女たちの働く姿を見て、美しさは磨くほどに増していくこと、重ねた経験や逃げない強さが、人間の豊かさとなり、輝きの素地になっていくことを知った。わたしはこれから失うのではなく、より美しく強くなっていくのだと、希望が湧いた。
二度目は26歳のころ、社会人も3年目を迎え、結婚する友人が増えて来たころ。仕事には慣れてきたものの成長実感はわかず、今の生活これでいいのかな、と漠然とした不安を抱えていた。当時同じ職場で働いていた、30代前半の女性の先輩に不安を吐露したところ、あはは!と笑い飛ばしてこう言ってくれた。「わたし26-27歳のころが、一番自分のことを無敵だと思っていてたのしかったよ。もっと何でも、のびのびたのしんだらいいんだよ」わたしはいま無敵なのかと思ったら、ふっと肩の力が抜けた。その先輩は、いつもおしゃれで明るくて、てきぱき仕事をこなしていて、職場で輝いていた。数年後、自分もこんな風になっていたいなと憧れた。
三度目はいま、31歳のとき。社会人歴も8年目になり、少しの自信とふてぶてしさを身に着けたわたしは、機会を得て、女子大大学院の社会人向けビジネススクールのコースに飛び込んだ。30代から50代のお姉さんたちと肩を並べ、毎週授業に参加し、提出課題に追われる日々。子育てをしている人もいれば、部下を持つ責任ある立場の人もいて、みな忙しい毎日を送っている。多い課題に文句を言いながらも、期限には必ず間に合わせて仕上げるお姉さんたちを見て、かっこいいと思ったし、自分もがんばらねばと気を引き締めた。授業で部下の育成について語る彼女たちを見て、自分もいつかそういう立場になるかもしれない、と自然とイメージがわいた。
長い目で人生設計を描くことが苦手で、すぐに目先の不安で頭がいっぱいになってしまうわたし。それでも、節目節目で出会う少し先の未来を照らしてくれるお姉さんたちが、いつもわたしの背中を押してくれている。いつの日か、もがきながらも日々を楽しもうとする私の姿を見て、周りの誰かが「あんな人生もあるんだな、悪くないかもな」と思ってくれたらうれしいな、なんて思っている。
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