本格的に自炊を始めたのは24歳の夏。彼と同棲を始めてからだ。それまでは気が向いたら作るくらいで、ほとんど母任せだった。だから毎日自炊するというのがこんなにも大変だなんて、24年間知らなかった。

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同棲を始めるまでは、自炊なんて楽勝だと思っていた。たまにとはいえ実家でも料理をすることはあったし、そんなに高いレベルを求められている訳でもない。別に私は普通にできると思っていた。

それが蓋を開けてみれば、想像していた何倍も、大変なことだらけだった。

まず買い物からして大変だ。彼と二人暮らしなので、食材を使い切れるかも考えながら買わなくてはならない。調子に乗って買いすぎて冷蔵庫がパンパンになってしまったり、食材を使い切れずに泣く泣く処分したといった失敗も、一度や二度ではない。

献立を考えるのもひと苦労だ。今まで実家にいたときは、SNSで見かけたレシピを気ままに作ったりしていたが、毎日献立を決めるとなるとそうもいかない。栄養バランスや味付け、食材の消費計画も考えなくてはならない。あまり考えずに作っていると、気づけば似たような味付けのおかずが続いてしまったりする。

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なるべく家族や友達と情報交換をして、バリエーションを増やすようにしている。例えば先日、姉が韓国風スープを作ったと言っていた。和洋中くらいしか頭になかったので、韓国風という新たなジャンルを開拓するきっかけになった。逆に私が親子丼を作った話をしたら、「最近親子丼食べてないかも」と言っていたので、お互いにとって良かったりする。

食品メーカーのホームページに掲載されているレシピも、非常に役に立っている。これは母のアドバイスからだ、誰でもレシピを投稿できるサイトやSNSのレシピは、あまり初心者向きではない。食品メーカーのホームページには、専門家が考案したレシピが、より丁寧な説明も共に載っている。ホームページ内で食材名や料理名で簡単に検索できるので、とても重宝している。

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買い物、献立決めか終わり、いざ作るという行程も大変だ。一品一品は簡単なレシピでも、何品も同時進行で作るとなるとなかなか難しい。肉を解凍している間に野菜を切ったり、炒め物をしている横でスープを作ったりと、大忙しだ。

休職して時間があるときはまだよかった。復職に向けてリワークに通い始めてからがさらに大変になった。9時半から15時まではリワークに通っているから家にいる時間が少なくなった。常に食事を作るか後片付けをしているか、といった状況だ。リワークには弁当を持って行っているので朝もバタバタ。弁当に入れやすいおかずのことも考えるようになった。

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そんな風に、自炊初心者の私は毎日あたふたしている。でも、そんな日々は嫌いじゃない。割と自炊を楽しんでいる。献立や料理の段取りを考えるのはパズルみたいで面白かったりする。それに何より、美味しいと感じる料理ができたとき、彼に美味しいと言ってもらえたときは、本当に嬉しい。

まだまだ料理のレパートリーも少ないし、失敗することも多い。それでも、もっと自炊を「楽しい」と言えるように、少しずつステップアップしていきたい。