大切にされている実感がほしかった。私を選ばなかった彼に伝えたいこと

自分と関わった人には幸せになってほしい。
それは老若男女問わずそう思う。ご縁があって一緒の時間を過ごし、言葉を交わしたのだから、お互いに良い影響を与え合うのが望ましい。
彼氏だった人は特にそう思ってしまう。なぜなら私とは恐らく今後関わることはなくなってしまい、別の誰かと家族になる。より良い人生を歩むためにも、できるだけ幸せになってほしいと願ってやまない。
それは元彼と呼べる人ではなくてもだ。
「元彼と呼べる人ではない」人とは、付き合うには至らなくて、彼氏にはならなかったが、何度かデートを重ねて将来の話をした仲の人だ。私にはそういう人がいた。その彼にもう一度会えるなら、言いたいことがある。
彼は友達の紹介で会った人で、話しやすいところと、スマートな雰囲気が印象的だった。
ほどなくして毎日連絡を取り合う仲になった。色んなところに出かけたし、誕生日も祝い合った。将来のことを想像するのは自然の流れだった。
ある日、彼から転職を考えていることを打ち明けられた。元々今の会社に長くいるつもりはなかったらしい。職種を変えるなら早い方がいいと背中を押した。しかし、彼は引っ越しを伴う転職を考えていた。
地元に戻りたいそうで、そうなると簡単には会えなくなる。着いてきてほしいという話が来るのかと思って、私も転職活動をしなければならないのかと考えを巡らせたが、彼の描いている未来に私はいなかった。
そのとき何かが吹っ切れて、彼を冷静に見られるようになった。それと同時に見て見ぬふりをしてきた彼の行動にひっかかりを覚えた。
デリカシーに欠ける発言、こちらが返答に困るような会話をすることがたまにあった。
し前に話した話題を忘れていたこともあった。私が提案したことを後に自分のアイデアかのように私に言ってきたときは驚いた。自分のことを棚にあげるが、こうして振り返ってみると、あまり大切には思われていなかったのかもしれない。
1つだけこれはやめた方が印象が良くなるよと伝えたいことがある。
それは我先にソファー席や上座に座りに行くことだ。私がどうしてもソファー席や上座に座りたいわけではないが、周りの視線が刺さっているような気がして落ち着かなかった。ただ彼が意識をしていないだけかと思うが、自然に女性に上座を譲っている他の男性を見るたびに切なくなった。
ほどなくして彼は転職をして、彼の地元に帰った。最後のデートの日にお礼を言ったきり連絡は取っていない。そのため、彼へのアドバイスは伝えられていない。
彼は俗に言うハイスペだからパートナー探しに関しては、何の心配もしなくていい。
高身長で高学歴、スポーツ経験ありで今も定期的に運動しているため、スタイル抜群。
極めつけに誰もが知る大企業に転職が決まった。今頃引く手あまたに違いない。私がアドバイスしたところでどこ吹く風だろう。
むしろ私自身の心配をした方がいいのではないか。彼の転職と引っ越しから時間が経ち、連絡を取らない期間が長くなってくるとそういう風に思えてきて、みじめな気持ちが湧いてきた。
まずは私を選ばなかったことを彼が後悔するくらい幸せになることを目標にしたい。
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