「意外にセンスあるじゃん」その言葉がうれしくて、目指すは料理上手な人

高校を無事卒業したと思えば、さあ仕事。やっぱり周りの大人が言っていたように、自分の思っていたような仕事に就いたわけではありませんでした。
食堂なんて、頭に思い浮かぶこともなかった私ですが、なんといってもその暖かくて優しいアットホームな雰囲気に惹かれて。環境って大事だと思います。楽しく仕事に通うことができて、幸せだと感じられる毎日。
けれど、早々に壁にぶち当たりました。
料理の仕方がわからない……。
切り方はあっているのか、揚げ物、色変わるって何……。
なんだか恥ずかしくて聞けないので、おどおどしてしまいます。
けれど周りからは上手上手と褒められて、喜んでいいのかなんだか微妙な気持ちでした。
今まで全く料理に手を付けてこなかったことが祟ってしまった。
何事も経験はしておくべきだと強く反省しました。
料理が上手いって、何だろう。
今からでも遅くはない。
どうせなら上手い、美味いと言われて心から喜んでみたい。
よし、家でも料理をして、まず慣れよう。
恥ずかしかったので、家族の目を盗んで昼ご飯を作ってみましたが、味付けは特に自信がない。
やっとのことでできたものをひっそりと食べていると家族に見つかりました。
もちろん横から箸が伸びてきて、「意外にセンスがある、料理上手じゃん」と。
ほっとしたのと同時に、家族が褒めてくれるということは少しはセンスがあるのかも、と調子に乗って色々なものを試しに作ってみることにしました。
坦々焼きそば、チャーハン、天ぷらにスープ。
なんだか作っていて楽しかったし、全部、意外にもおいしい、評判も良い。
料理を褒められるって、こんなに嬉しいんだ。
この喜びに気づいてしまったからにはもう戻れません。
お弁当も作りたくなって、早起きもするようになりました。
一石二鳥と言ったところです。
仕事にもだんだんと自信がついてきて、楽しかった仕事が更に楽しくなりました。
おどおどすることもなくなって、人間関係も上手く築けている気がします。
これからお金をためて、自立していく時にも必要な料理技術。
この機会に身に着けることができて本当に良かったと思います。
うちは、祖母も母も料理が上手いし、弟も割と料理好き。
下手だったらどうしようと、どこか怖がっていた面もあったと思います。
よく考えたら、下手だったにしろ、いつかはしなければならないんですけれど。
学生のうちから料理の楽しみを知っていたら、もっと食事も美味しく感じていたかもしれません。もったいないことをしてしまったと思います。
料理が上手というだけで、得をする面は本当にたくさんあると思います。
上手いと言われると追求したくなるのは私の良いところです。
たくさんの料理を作れるようになって、たくさんの人に美味しいと言ってほしい。
自分の作ったものを褒められる喜びを知ることができて、本当に嬉しかったです。
味付けも盛り付けも、試行錯誤をして、センスを磨く。
何年か後に、手に職があるというほどに自信が持てるくらいになれたら。
今日も私は全力で料理上手への道を歩んでいます。
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