会社に個性はいらない。賢き者は必ず相手の意見を聞くから

会社において、真に賢き者の意見を通すためには、それ以上に優秀な人たちが集まる場所でなければ難しい。
そして、会社に私の個性はいらない。
20代の私は今日までに2社(転職1回)経験している。1社目は新卒しか出世できず、まず中途採用の人の意見は通らない環境だった。
そのため必然的に、新卒から順調に出世した管理職しかおらず、何十年も顔見知った新卒時代のメンバー内でしか出世の順番待ちも起きなかった結果、中途で入り今日まで役職も給与も大して変わらなかった30〜50代の人たちの虚な目がよく印象に残っている。
かくいう私もこの時は新卒入社であったため、そんな異様な空気に気づいておらず、出世している上司の言うことが正しく、また出世している人こそ優秀だと思っていた。
しかし、自分からセミナーや異業種交流会など、外部の情報も取りにいくようになってから「真に賢き者の意見を通すためには、それ以上に優秀な人たちが集まる場所でなければ難しい」と言う事を肌で感じ始めるようになった。
特にコロナが流行り始めた2020年、会社はリモートワークの環境も何も整っていないにも関わらず、東京都在住の社員以外は会社に来なくて良いと全社員に命じた。オフィスは東京にあり、数十人の管理職は皆、埼玉、神奈川、千葉に家を持っており、残ったのは上京してきた新卒や、中途採用の非管理職たち。
これほどまでに傲慢だと感じたことはなかった。なぜこんな意見が通ったのか?
例え未曾有のパンデミックであったとしても、業務内容も減らさず、危険手当などの賃金に差もつけず、管理職も不在のまま、半数以上いなくなった社員の分をいつまで働かせるのか等、議論はなされなかったのか。
東京在住という括りだけで、働く社員の年齢や持病なども一切考慮されなかったことも驚きである。
しかし、会議での発言などを思い返すと、このような命令を下したことにはある程度、想像がついた。
賢き者は必ず相手の意見を聞く。
そして柔軟に他者の意見を取り入れて、自身の意見を強化させることに利用したり、自身の判断が誤っていたと気づくと修正を視野に入れて会話を進める。
しかし、この会社にはそのような賢き者はいなかった。まず中途採用というだけでその者の意見は取りに入れられない。管理職のいうことが常に正しい。そんな事を何十年も繰り返してきたのだから、誰も意見もしなくなる。間違っていたか振り返る機会もないのだから。
そしてついに訪れた有事の時。
私は、真に賢き者が集まる会社を目指して転職することを決めた。
でも今のままの私じゃだめだ。
真に賢き者が集まる会社を探すためには…!
こうして、もがき始めた私はかがみよかがみに初めて投稿をしたのであった。
そしてあれから2年。 さらに気づいたことがある。
それは会社において個性は特に求められていないことである。
無事、転職に成功した私はあの時よりずっと賢き者が集まる環境に今、身を置き、そこで思うのは「私は!私は!」と個性を主張する人がいないことである。
学生時代、個性が大事と教わってきたけれど、会社は組織であり、一つの意思決定についても多角的な視野が求められる以上、より良い意思決定を行うためには、相手の意見を聞く姿勢が何より重要だ。反対意見だろうと、そこで交わる他者を尊敬し、協調性を重んじられる人でないと、自己の意見のみを押し通すままでは、より良い結果を導きだすことは極めて難しい。
もし、今から社会に出る人がいるのであればぜひアドバイスを送りたい。何もしなくても人はそこにいるだけで、個性というものを持っている。だから個性をアピールするよりも、まず人の意見を聞く柔軟性と協調性を大事にしてみてください。それが貴方が会社で長く勤める上で隠れ蓑になるのだから。
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