LINEの返信をして、戻るボタンでホーム画面に帰るとき、私はちょっとニヤけていたと思う。

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私の会社は、T都以外に支店があり、N県もその一つだ。私はT都配属だが、縁あって今までに4回N県のオフィスに行く機会があった。そちらにも同期がいるわけで、N県に行くと度々ご飯に誘ってもらって、いっしょにN県の美味しいものを頂いた。N県で生まれ育った彼女たちは、いつも私たちを快く歓迎をしてくれて、地元の案内をしてくれた。

入社した4月に初めてその子にあったとき、同じ空間にいたことは覚えている。でもそのタイミングでは二人で話す機会はほとんどなかった。
夏くらいに、仕事に関係する内容のチャットをした。チャットの相手がその子かどうか確信を持てず、他人行儀なチャットになってしまった。

12月にN県に行って、休憩室でお昼ご飯を食べていたとき、「こんにちは!私のこと覚えてますか?」と笑顔で少し恥ずかしそうに話しかけてくれた。もちろん覚えてるよと返し、その日の仕事後は複数人でいっしょに晩ごはんを食べた。その子は車を出してくれた。ハンドルを握って山道を登るかっこいい姿と、ちょっとしたやりとりの端々から伝わる小さな気遣いが印象に残っている。その子は少しだけ私より年下で、タメ口を混ぜた敬語を使ってくれていた。

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T都に戻るとき「はやさん」から始まるメッセージをLINEをくれて、一緒にご飯に行けて楽しかったのでまた来てくださいという内容が書いてあった。絵文字がたくさんのLINEは、心がこもっていて嬉しかった。

4月にもN県を訪れ、仕事をした。その子は髪形と髪色が変わり、少し大人っぽくなっていた。遅番の後ご飯会に合流してくれて、仕事の話なんかをした。T都の同期もいっしょだったので、二拠点の間での一体感のようなものがあったと思う。

5月。休みの日が被ったので、N県の他の同期をひとり交えて、お昼からドライブして水族館に行ったりカフェに行ったりした。N県の同期二人に混ぜてもらう形になったが、居心地は頗る良かった。釣りや映画といった趣味の話に家族の話、学生時代の話など色々な話をして、その子についてもっとよく知ることができた。事前にしっかり準備をしてから臨む仕事のスタイルと、その子のMBTIがぴったりだと盛り上がった。

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遊んだ夜にくれたLINE。はじまりは「はやちゃん」で「気を付けて帰ってね」や「今日はありがとう」という言葉が綴られていた。ちゃん付けになり、タメ口になったことに気づいた。働く拠点や環境は違うけれど同じ業務を日々頑張っていて、会う度に距離を縮めていけたことが嬉しかった。

T都への帰路、その子に返信をした。またしばらくT都にて自分の職務を全うするけれど、N県にも同期がいて、関係性を更新し続けていることを有り難いなと思った。この会社でなければ出会えなかったその子との御縁に感謝した。

私はずっとこの会社にいられるわけではない。でも何年経っても、同期でいたいなと思った。