実家で暮らしていた学生時代は、あまり「ありがとう」や「ごめんね」が言えない子どもだった。言わなくても伝わると勝手に思っていたし、これは言い訳だが、家族に言うのはなんとなく恥ずかしくて、照れくさかったことも要因であると思う。

社会人になったいまでも、自分が100%悪くないときに、謝るのは却って濡れ衣を着せられかねないな、と思ってしまったり、「申し訳ございませんでした」ではなく、「大変、失礼いたしました」と言うことで、少し抵抗してみたりもしてしまう(笑)。

上司から賞与のお礼を社長に言いなさい、と言われた話を家族に言ったとき、「社長が社員にお礼を言うものだからおかしい」と言われたが、正直、減るものではないので、長いものに巻かれてお礼を言っておいた。

そういうことも経験していったからか、最近ではお礼や謝罪を、以前より言えるようになったと感じている。

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LINEのメッセージ検索機能で検索してみると、彼氏に「ありがとう!」や「ありがと♡」と送っている数が想像以上に多かった。

彼氏が“ありがとう“や“ごめんね“をしっかり言う人である影響で、わたしもそれ以上に彼氏に感謝の気持ちや謝罪の気持ちを伝えようと意識的にしている。

そのなかでも、「あ、ごめん」と言うのではなく、「ありがとう」を多く伝えようとわたしは思っているが、彼氏は返信が遅れただけで謝ってくれたり、ちょっとした勘違いをしたときに謝ってくれたりするので、わたしが謝まらせてしまったという感じになってしまう気がして、むしろそんなに言わなくてもいいのに……と思ってしまっている。

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大人になり、彼氏の影響もあり、社会人としても経験値が増えたいまでは、上司になにか注意されたときは、まず謝罪をする、ということができるようになった。

上司から怒られ、なぜこういった事態になったのかと理由を聞かれると、わたしとしては説明しているだけでも、ついつい言い訳をしているように聞こえてしまう。そうならないように、まずは「すみません……それは〇〇で、」と話すだけでも、かなり印象は良くなると思う。

もちろん、平謝りをするのはよくない。しかし、少なくとも上司の時間を奪ってしまっていることには変わりないので、もしかしたらわたしが悪くなく、上司の勘違いの場合であっても謝ることにしている。

そうするだけで、みんな気持ち良く働けるなら、この謝罪も価値のあるものになると思う。

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でも、まだまだ家族には甘えがどうしても出てしまい、なかなか謝罪の言葉をスっと言うことは難しい。「どうしてわかってくれないの?!」という気持ちがついつい前に出てしまい、謝まることよりもさきに、逆ギレを含んだ怒りの言葉をまくし立ててしまう。

もし、奇跡的に家族に謝れたとしても、めちゃくちゃ小さな声でボソッと「ごめん……」と言うことしかできない。しかも、絶対その言葉のあとに、「でも!」と続けてしまう、という始末である。