私だけの感性で選んだリングは、特別な時に使う私の小さな相棒

目に入った瞬間にキラキラするものがある。
それが、特別な何かとかみんなの注目を集めるものとかそういう事前の情報や知識がないものでも、なぜか目を引かれて気になるもの。
日常のなかでいろんな情報や商品を目にする機会があれば、そういう私だけの特別に出会うことがたまにある。後で調べてプレミアムな情報や金額だったことを知ると嬉しくなるけど、そんな付加価値ではなく、心が欲しいと思えるものに囲まれて生活するのは幸せなことだ。
でも、メイクや洋服、アクセサリー、いろんなものでマウントを取り合うような女の子の世界で、自分の直観を信じた一目惚れを大切にすることは難しい。
私の忘れられない一目惚れは、華奢なリングだった。
特別に高いとか珍しいものではなかったと思うけれど、よく行く駅ビルのお店で取り扱っていたもので、なくすことを前提にアクセサリーを選んでいる私からするとちょっと高いくらいの値段だったと思う。
店員さんから見せてもらった時も、かわいいけど日常で使うにはちょっと高いなというのが正直な感想だった。
その日には決断できずに帰ったが、そのリングのことがずっと気になっていた。似たようなリングをネットで探したりもしてみたけど、やっぱりその時に見たリングが一番で、日常的に使っていてなくしたらショックを受けるくらいのお値段だけがネックだった。
そして、そのお店がなくなるまでの1カ月くらい悩み抜いたあと、どうしても忘れられなくて、最終日に買いに行った。
そのリングを買った日の帰りはとにかくわくわくしていたと思う。特別ではなくごくありふれた小さなリングだったけど、悩んだ時間も相まって私にとってはすごく特別なリングになった。
おしゃれしたいというよりも、お守りに近いイメージでお仕事の大変な時や失敗できないとき、友達と遊びに行くときなど、大切なシーンでつけていくことが多い。もちろん、駅ビルのお店で買った小さなリングにお守りのご利益なんてないし、リングを付けていたって失敗することはある。それでも、頑張ったことや楽しかった時間を共有してきた、私の小さな相棒だと思う。
私が小さなリングに対して、こんな風に感じているのは、やっぱり一目惚れしたからこそだと思う。
雑誌やSNSの特集で見て素敵だなと購入したものだってもちろん大切だし思い入れもある。でも、そういうマウントとは関係なく、なんとなく立ち寄ったお店で見つけた一目惚れのリングだからこそ、特別な時に願いをかけて使いたくなる。そして、不思議と心が落ち着いたり元気になったりするような気がする。
なくしてしまったらと思うと少し怖いけれど、怖いと思えるくらい大切にできるアクセサリーが手元にあることも素敵なことだろう。
誰もが羨ましがるような素敵な洋服やアクセサリーだって世の中には溢れているけれど、私はそんな情報にだけ踊らされるのではなく、自分の感性やセンスも大事にして、私らしくやっていきたい。
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