やっと社会の一員に。初めて選挙に行く日、早起きしておしゃれをした

選挙権が18歳に引き下げられたのはまだ記憶に新しい。2016年6月に施行された、改正公職選挙法。その時わたしはドキドキワクワクしていた。
昔から政治の世界に興味があった。それは政治家になりたいとか、そういう意味ではなく、どのようにして世の中の仕組みは作られているのか、だとか、選挙で当選した人はどんなことを公約に掲げて、それを達成できているのか、だとかそういうことに。
だから、学生の時、社会の授業は、とりわけ公民、倫理政経の内容の時はいつになく真剣だった(いつもは不真面目だったとかそういうわけではなく、ただ好きだった)。
わたしの祖父は、ニュースを見て、政治のことについて幼い頃からわたしによく教えてくれていた。大人になったら、将来自分が生きていく世の中をより良くしてくれると思う政治家に、選挙の時に投票するんだよ、と。
どうやって1人に決めればいいの?と聞いたら、選挙の前に家に届く新聞を読み聞かせて、この人は世の中をこうしていきたいって言ってるんだよ、と話をしてくれていた。この中なら誰を選ぶか決めておいて、当日の選挙速報でどうなったか見てみようか、と、少しゲームの要素も取り入れて、教育してくれていたと思う。
家族の投票について行って、小学校の体育館の外で待ちぼうけをするのはもどかしくて、早くわたしも大人になりたいな、とずっとずっと思っていた。だから、選挙権の年齢の引き下げは、わたしにとって、「やっと社会の、世の中の一員になれるんだ」という希望に満ち溢れた出来事だった。
18歳になってから、初めての選挙の時。日曜日なのに、いつもよりうんと早起きをして、なぜかおしゃれをして、仕事に向かう前の母と一緒に小学校へ行ったことを覚えている。両手で家に届いた選挙の案内を、受付の人に渡す時、ユポ紙と呼ばれる選挙の時に役に立つ強くてしなやかな紙をもらった時、ものすごく緊張した。ユポ紙は、これが噂の!となり、触り心地と書き心地に感動した。
貼ってあるポスターを読み、いろんなニュースを観て、街頭演説を見かけたら少し聴いてみたり、家の近くを通る選挙カーの声に耳をすまして、届いた公約の載っている新聞には端から端まで目を通した。
どの候補者に投票したかはいまでは覚えていないけれど、とにかく真剣に考えて、考えた。
この人の言ってることが実現可能なら良いのにな、とか、現実味がなくて理想でしかないな、とか、これはいまの社会の大きな問題と論点が逸れているのではないか、とか、祖父に話を聞きに行って、勉強して、納得して投票した。
投票用紙を投票箱に入れて、外に出た時に感じた、国民の義務を果たしたぞ!の気持ちはいまでも忘れていない。用事があって投票日に行けない時はひとりで自転車に乗って区役所まで行き、期日前投票をした。出口調査に捕まった時は、これをたくさん集めて、当選確実の速報をゼロ打ちで…!と、感動しながらアンケートに答えた。
今年は参議院選挙がある。どの候補者に投票するかは、まだ決めていないけれど、今年もしっかり勉強して、わたしが生きていく社会をより良くしてくれる、支えてくれる、安心できる人を選びたい。
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