セーラー服に身を包み、歌った。時を超えた青春の追体験

25歳という年齢になり、社会の荒波にもまれながら日々を過ごす中で、心の奥底に眠っていた「セーラー服を着たい」という衝動が、ふと湧き上がってきた。それは、セーラー服を着ていた学生時代の輝きを取り戻したいという、切実な願いだったのかもしれない。
趣味で続けているボーカル活動は、日々の生活に彩りを与えてくれる大切な時間だ。その発表会という舞台を、「セーラー服を着る」という夢を叶えるための場所にしようと決めた時、胸の高鳴りを抑えることができなかった。選曲は、誰もが知る青春ソング「学園天国」。セーラー服と、この弾けるような楽曲との組み合わせは、きっとその場が最高に盛り上がるはずだと確信していた。
発表会当日、ネットで買ったセーラー服をきて、袖を通すと、不思議な懐かしさがこみ上げてきた。
セーラー服に身を包み、電車に揺られていると、まるで高校時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥った。窓の外を流れる景色は、あの頃と変わらないはずなのに、目に映る全てが新鮮に感じられる。学生時代、毎日通った通学路。友達と笑い合い、将来の夢を語り合ったあの頃の記憶が、鮮やかに蘇ってくる。セーラー服は、私にとって、単なる衣装ではなく、青春時代の記憶を呼び覚ます特別な存在だった。
会場に到着すると、すでに多くの参加者が集まっていた。緊張と興奮が入り混じる独特の雰囲気に、胸が高鳴る。ボーカルの先生に「きまってるね!」と褒めてもらった時、不安は吹き飛び、自信が湧いてきた。先生の言葉は、まるで魔法の呪文のように、私の背中を力強く押してくれた。
いよいよ自分の番が来た。ステージに上がり、マイクを握る。スポットライトを浴び、観客の視線を感じながら、深呼吸をする。イントロが流れ出すと、緊張は消え去り、高揚感に包まれた。
「学園天国」の軽快なリズムに乗せて、全身全霊で歌い、踊った。歌詞に合わせて、無邪気に飛び跳ね、観客に笑顔を振りまく。観客席からも声が聞こえ、会場全体が一体感に包まれた。セーラー服を着ていることを忘れ、ただただ、音楽とパフォーマンスを楽しむことに集中した。
歌い終わると、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。達成感と満足感で胸がいっぱいになった。ステージを降りると、他の参加者からも「セーラー服、すごく似合ってたよ!」「可愛かった!」と褒めてもらい、喜びがさらに増した。
高校時代から約10年。まさか、この歳でセーラー服を再び着るとは思ってもみなかった。しかし、今回の発表会でセーラー服を着て「学園天国」を披露したことは、私にとって、忘れられない最高の思い出となった。あの日の高揚感、達成感、そして、周囲からの温かい言葉は、これからも私の心を支え、前向きな気持ちを与えてくれるだろう。
セーラー服は、私にとって、過去と現在、そして未来を繋ぐ特別なアイテムとなった。いつかまた、セーラー服を着て、ステージに立ちたい。その時、私はきっと、さらに輝きを増した自分に出会えるはずだ。
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