憧れだった肩出しルック。500円の服がくれたのは自信と少しの勇気

憧れの服を纏うのは、少しの勇気が必要だ。先日、思い切って昔から挑戦してみたかった肩出しトップスを着てみた。
「アラサーになってこんな服着て、痛いかな?」
「似合ってないかな?」
「彼氏はどう思うだろう」
など、色々な不安が脳裏によぎった。
でも、グズグズしていたら閃光のように人生は過ぎてしまう。
一年が経過するのが本当に一瞬で、毎年その速度は増していく。
挑戦するのは今しかない。林修先生のように、「今でしょ!」精神が何事においても大切だと思う。
通販サイトで検索し、500円ぽっきりという失っても痛くも痒くもない価格の商品を見つけた。
安値にしては可愛いデザインだ。全面的にリボンがあしらわれ、上品な印象を与える。カラー展開が数色ある中から、ラベンダーを選んだ。
安っぽく見えないかが肝心だが、もうそこはアクセサリーや髪型で誤魔化してなんとか着こなすしかない。
数日で届いて袋の封を開けてみると、全く安値には見えない期待以上の品物だった。早速試着したところ、サイズ感もぴったりで初めての肩出しルックには最適という感じだ。
初めて外出時に着たのは、映画「国宝」を観に行く日だった。この映画を以前から楽しみにしていた私は、ルンルン気分で着替えた。
家で彼氏にお披露目したところ、思っていたような反応を貰えなかった。
「俺以外の男が見たらどうするの」
と、嫌そうな表情を浮かべる。そういえば彼氏は露出否定派だった。その反応に少し気分が下がる。
「私が着たいと思って着てるんだから、別にいいじゃないの。誰も見ないし」
と不貞腐れた。
しかし、いざ外へ出てみると
「可愛い!似合ってる」
と言ってくれて、写真もたくさん撮ってくれた。
地方のイオンモールなので確かに視線を感じる時もあったが、別に気にしていない。以前は私の人生に関係しない人の感情を無駄に気にしていたが、もうやめた。
映画の内容もあまりに良過ぎて何度か拍手しそうになったし、スタンディングオベーションしたいくらい総合芸術を感じた作品だったと思う。
初めての肩出しルックは成功に終わった。憧れを憧れのままにせず、勇気を出して自分のものにするのは気持ちが良い。
私は挑戦する前の不安が大きいタイプだ。労働や初めての人と会う前もそうで、莫大な不安に呑み込まれる。だからこそ、こんな小さなことでも実行したのが大きな一歩だ。
この挑戦に味を占めた私は、ミニスカートも久々に着用した。スカートといえば膝下のフレアというのが定石になっていたが、デニムのテニススカートだ。
若さは儚く散っていく。だからこそ、着たい服は今着る。
エイジズムはいけないというのは分かっているものの、やはり若作りしすぎた痛い中年に見られたくないというのが本音だ。
東京や都市部ならば、どんな服装をしても自由な気がする。こと田舎においては、そうはいかないと勝手に思っている。
悪目立ちするのもあるし、田舎では年齢や性別に相応した"常識的な"ものが良しとされる。きっと私にもその価値観は墨汁のように染み込んでいて、どれだけ拭っても拭いきれない。
とは言いながらも、私は年々図太くなっている。常識では考えられない出来事「アンビリバボー」のように、60になっても70になっても、夫になった彼氏と肩出しルックでイオンに行くかもしれない。
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