夏。恐ろしい季節がやってきた。

子供の頃は勉強を忘れ、煩わしい人間関係を忘れて自分の好きなように時間が使えていた夏。それが大人になってからはどうだ。子供の頃に比べるとめちゃくちゃ暑いし、イベントがある日の街は人で溢れかえり純粋に楽しむより先に疲れてしまう。

◎          ◎

そんなわけで大人になった私は浮かれるより、家で惰眠を貪りダラダラと映画を観たり、普段作らないお菓子なんか作ったりして引きこもるのが定番だった。これはこれで夏を楽しんでるやんと思っていた。これが私なりの大人の夏や。そう思っていた矢先だった。

結婚し、子供が2人産まれた。最初の数年こそ、無理して出かけずとも家のプールや工作、簡単な料理を一緒にするだけでなんとか乗り切れていた。これはこれで新しい夏の過ごし方……なんて思っていたが、上の娘ももう小学生。家で過ごすだけでは飽きてきていた。「〇〇ちゃんはディズニー行ったらしいで」とか「××ちゃんは旅行いくらしい」等、お友達から聞いて「私はどこに連れて行ってくれんの?」となったようだ。夫婦ともに旅行や遠出があまり得意ではなかったので、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。

◎          ◎

とはいえ、頻繁に旅行に行けるわけでもなし、下の娘もまだ小さく長時間のお出かけは難しい。どうしよう。悩んでいても夏休みは待ってくれない。学童に通っていない娘は自宅で毎日過ごさなければならない。私が子供だった頃は、近所の友達の家に集まって毎日遊んでいた。しかし、今の時代それも難しい。そんな時だった。娘の仲良しのお友達のママから「キャンプに行きませんか?」とお誘いが来た。

市が運営しているキャンプ場に小学生だけで参加できるキャンプがあるとのことだった。川遊びをしたり、森の中を探検したりできるそうだ。娘に話したところ、目をキラキラさせて「行く!」と即答であった。

頼れるものはママ友だった。子供がいなかった時はほとんど目を通していなかった市の広報。ママ友に教えてもらわなければ、見ることは決してなかっただろう。広報に様々なイベントやワークショップが載っていた。娘の友達に声をかけて一緒に参加する計画を立てた。夫とママ友たちで協力し、お泊まり会や大型プールに遊びに行く予定が次々と組まれていく。幼稚園時代の頃より深く、仲良しのお友達と関われている気がする。面倒がらずに娘の仲良しのお友達とのママ友交流を続けていてよかったと実感した瞬間だった。カレンダーはあっという間に家族の予定とお友達と遊ぶ予定でいっぱいになった。娘も夏休みが楽しみになってきたようだった。

◎          ◎

ディズニーや旅行に出かける他のお友達に比べると正直しょぼいと思われるかもしれない。けれど、私たちなりにできる範囲で子供たちを楽しませてあげたいと思う。私自身、早起きが苦手。しかし子供たちと一緒に子供会のラジオ体操に参加したり、近所の鉄棒教室に通ったり。なんだかんだ毎日子供の用事に付き合っている。

正直昼まで寝たいし、はやくソファでゴロゴロしたいけれど、子供たちの笑顔が見られるならやるしかない。自分が子供の時、両親もこんな気持ちだったのだろうか。ふとそんなことに思いを馳せる。長いようで短い夏休み。せっかくの夏休み、最高の夏にしてあげよう。母ちゃん頑張るね。