夏と言ったら、ケツメイシ、5歳の娘は、ミセスグ(Mrs. GREEN APPLE)の青と夏、3歳はごはん、夫はビキニギャルらしい。

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40回目の夏を迎える私は、できることというよりは、やらなければいけないことの方が多い。

子供の世話、ご飯、仕事、頭の中は、タスクでいっぱいだ。
この歳になって、夏の楽しみはキメキメのサングラスを掛けて出かけることだ。私は夏にしか掛けれないお気に入りのサングラスを持っている。このサングラスをつけると芸能人になった気分で気持ちが上がる。そして意気揚々と歩く。それでミニストップのハロハロなんて食べれたら、最高だ。

そんなことを考える普通のお母さんを満喫してる私なのだが、20年前の夏はかがみすと世代と同じように、独身を楽しんでいた。

20代のある夏の夜、好きなグループ、所謂、推しがクラブイベントに出ると聞いた。私はバイトをしてお金を貯めて田舎に住んでいたが、都心のクラブに友達と言った。夜中に関わらず大行列。それはそれは推しのパフォーマンスを楽しんで帰宅したのだが、一緒に行った友達に次に会うと、「アーティストに誘われた」という。そうだ。これが、夏の定番、アバンチュールってやつだ。

私はそれを事細かく聞いた。どういうシチュエーションで?覚えてるか?覚えてないか?質問攻めだ。事情聴取のように。 

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なぜか、夏はそんなような話を毎日のように聞いた。あのサークルの〇〇くんとコンパで出会って、海で告られて……やら花火大会に誘われて、行った日に……やら、そんな話は大体、夏だった。
遊びたくなるのも夏の仕業だ。

夏はとことん遊んだ。プール、海、クラブ、バーベキュー、映画、水族館、コンパ、ほぼ家には寝に帰っただけ。バイトして貯めたお金は、遊ぶために全部使った。今はそんなことは無理だ。生活をしなきゃいけない。そんな自分のためにお金を使えるのも、若い時の特権のようなものだ。
もちろん、傷つけあうような恋愛もした。お互いがセックスだけのために会い、愛と性欲の間で、お互いを理解できなくて終わった恋のようなものあった。

そんなときも思い出の片隅には熱い太陽と、夏の夜風が共についてくる。

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夏には「アクセルを踏ませるような」魔法のような力があるようだ。
当時は涙を流したこともあったが、なぜかどれも後悔は全くしていない。本当に楽しかた。40歳の今、本当にそう思える。

きっと誰しも「夏だからできた」大胆なエピソードは全人類が持つだろう。
あの歩いてるおばあさんだって、おじいさんだって、夏だからできた思い出、墓まで持っていくようなエピソードがあるだろう。

今年も暑くなりそうだ。かがみすと世代も、とことん好きなことをやり切ってほしい。熱中症には注意は必要だが。
しかし、40回目の夏は、「魔法」にはもうかかりにくくなっている。私がかかり始める、「健康診断の二次健診」または掛けるのは「シニアグラス」だ……。