夢って…持つ夢によって、人生が天国にも地獄にも変わるなとつくづく思う。

わたしには夢がある。看護師になりたい。

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小学生のときに病院で働くいつも優しい看護師さんたち。その看護師さんが声を張り上げ待合室で急変した患者の対応をしていたのを見た。ぐったりした患者さんを囲んで看護師さんたちは真剣な顔で必死に走り動いていた。

当時小学生で10歳だったわたしは雰囲気がピリピリ緊迫していて非日常感が恐ろしかった。いつも朗らかに笑い明るい声で話す看護師さんが別人のようでこわかった。 

だが、だんだんわかってきた。
かっこいいんだ。あの看護師さんたちは、人の命を救うために必死になれる人達だった。ヒーローみたい。

わたしも看護師になりたい。

しかし今のところは、決して叶わない。
なぜならわたしには精神疾患があるからだ。服薬している薬の影響で作業をする際には手が小刻みに震える。わたしが患者ならば、精神疾患持ちでしかも手先が震える看護師に看護されたくない。

例えば注射。注射する際に看護師の手が小刻みに震えていたら、不信感MAXでしょう。注射針が安定せず、患者サイドは鈍い痛みの苦痛を味わうでしょう。
精神疾患持ちの人に医療行為を行って欲しくないだろう。看護師の業務は命に直結する。看護師という職は人を救う為に存在しているのだ。そう、人を病や怪我から救うのだ。
…あ〜…カッコいいなあ。

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看護師のおかげで、今まで数え切れない数の患者が救われてきて、これからも救われてゆく。
看護師への憧れは色褪せることなく、ますます強く鮮やかにまばゆくぴかぴか光り広がる。
わたしの夢は看護師になること。看護師になり医療の分野で人の役に立ちたい。

わたしは介護士をしている。おむつ交換や排泄介助、入浴介助や食事介助など看護師の業務内容と僅かに被るからと始めた介護士。現在5年目になる。介護士の仕事はやりがいに溢れ人の役に立てる喜びを噛み締めている。まるで看護師みたい。

かかりつけの病院の主治医は少し驚いていた。わたしの患っている精神疾患では、介護士は不向きとされているから。

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足りない。
わたしが本当にやりたいのは、看護師だ。
医療に携わり人を病や怪我から救いたい。そういう役立ち方をして生きたい。
介護士は素晴らしい職業だが介護士じゃ満足できない。

苦しい。

夢を持つと底なしのエネルギーがわいてくるような、夢に近づきたくて不可能も可能にしちゃうような、キラキラ輝く世界に歓迎されているように感じる。

わたしは叶わない夢に雁字搦めになって、夢を諦めきるその日まで憧れで輝く心をジワジワ殺されていくのだ。
殺されるのだろうか?いや、看護師になれるかもしれない期待を捨てきれないままこのまま苦しみもがいて生きるのだ。
楽しい楽しい生き地獄だ。