図書館で働いていると、成長に限界を感じる。成長なんて自分次第でどうとでもなる、という熱血理論は一旦置いといて、図書館の業務とは端的でルーティン的で進歩もなければ退化もない。それが贅沢なワガママだと思う人は、きっとどの職場でも長くやっていける。

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焦りを感じた。現在23歳、四年制大卒であれば社会人2年目だろうか。自分は短大卒なのでそこらへんよくわからなくなってくるが、世間的には今が働き盛りで、逆に言えば何でもできる年齢だ。早くしないと、世界は私の予想以上のスピードで進化を遂げている。

きっかけは大したことではない。ちゃんとフルタイムで働いている割に毎日同じことを繰り返している、だから給料も安い。例えば、今ここで終身雇用を言い渡されたら、私は泣きながら断るだろう。本が好きだから図書館で働いているし、職場の人が嫌いなわけではないし、むしろ働きやすいし、超ストレスフリー。ただ、心のどこかにぽっかりと埋まらない穴がある。

特に何がやりたいわけでもない。大した目標も夢もない。ただ漠然とした不安が付き纏っていて、現状を変えなければ私は何も武器がないままぼーっと生きて、死ぬときの走馬灯は本と図書館とバーコードリーダーのみになるんだ、という偏った考えが頭から離れない。

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今年4月、その穴をとりあえず塞ごうと、若いうちに取っておくべき資格について調べた。1位は簿記と出てくる。ならば簿記を取ろう、と4月30日に簿記検定について調べたら、なんとその日が簿記検定申し込みの締切日だった。だから何も考えずに申し込んだ。検定日は6月11日、1ヶ月ちょっとしかないことに顔面蒼白。簿記が何かもよくわかっていないのに、検定日を確かめずに申し込んでしまう阿呆とは私のことである。

5月は死ぬ気で勉強した。本業の図書館はちゃんと出勤して、副業のバイトのシフトをちょっとだけ削った。ノイキャン機能がついているヘッドホンを買って、6時間ぶっ続けで勉強した日もあった。講座は申し込まず、YouTubeのみで独学。見事6月の検定で、簿記3級に合格した。

おかげで私は勉強が苦ではないということに気づいた。人から強要されることはできないけど、自学は得意だ。今年の11月に2級に挑戦しようと思う。

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夢を持っていない人を、他人はあまり評価しない。夢イコールやる気に結びついていると思われがちなのか、向上心のない奴だとレッテルを貼られてしまう。でも私はそっち側の人間で、けれど今はこうして図書館に勤めている自分に焦りを感じて動いているのだから、夢と向上心は必ずしも直結しないように思う。

夢を持たないことを悪いとは思わない。し、私は目標とかそういうゴールを見据えて動くことが苦手だ。どうしても達成しなければならないという焦燥感に襲われて、無駄に動いて勝手に潰れる。そういう経験を幾度となくしてきた。
時には夢も目標も考えずに、ちょっとした思いつきで目先のことに挑戦してみるのもアリだ。それがいずれ大きな野望になって、人生を支えてくれる武器になり得ることだってある。と、私は思う。