星空を眺めながら送ったメッセージ。あなたは彦星で私はシンデレラ

令和7年7月7日、私は星空を眺めながら、ある人にメッセージを送った。
「七夕だね。令和7年7月7日のラッキーセブン。織姫さん(大切な人)と彦星さん(あなた)は会えたかな?」
今年はレアな7並び。私はふと思いたって、元彼にメッセージを送った。いや、「送ってしまった」の方が正しいかもしれない。
元彼と私は、今から2年前、令和5年に別の相手と結婚した。元彼と私は別れて10年になる。もう他人と言っても過言ではない。でも、細々と繋がっている。互いに、さよならしきれない思いがどこかにあるのだろう。返事を期待したわけではない。ただ、夏の星空を眺めていたら、元彼のことが頭によぎってしまったのだ。何も期待せずにぼんやり空を眺めてみると、誰かからメッセージが届いていた。元彼だった。
「メッセージありがとう。教えてくれて、時の速さを感じたよ。最後に会ったのが、いつか思い出せないくらい久しぶりだね。元気かな?お互いいろいろあったと思うけど、近況が気になってしまったよ」
自分と同じように気になったんだと気付かされて、クスッと笑った。
「元気だよ。最後に会ったのがいつかは私も思い出せないけど、最後にあったときのことはまだ覚えてるよ。あなたのところは、国際結婚だから、私以上に織姫さん(大切な人)と彦星さん(あなた)状態だよね。このラッキーセブンが願いを叶えてくれるといいなって思ってメッセージしてしまったよ」
夏の星空のせいか、きらきらと言葉が光るように浮かぶ。
「いつかは覚えてないけど、その時のこと覚えてるって言われたら…ちょっとドキッとしたよ。なんか笑っちゃった。 元気そうでなにより。織姫と彦星ね…。そんな立派なものじゃないけど、妻はタイで暮らしてるよ。年に数回遊びに来るよ。結婚したけど一人暮らし。この令和7年7月7日、なんかいいことありそうな気がした。メッセージありがとう」
元彼からのメッセージに少し高揚した。
「私とあなたはシンデレラと王子様だったから、奥さんとあなたは織姫さんと彦星さんでもいいんじゃない?ロマンチックで^^ 」
なんて冗談まじりにメッセージを送り返してしまう。
なんでもない会話。だけどそれは、どこか温かくて切なくもある。
これ以上続けてはいけない。
だって私には、かけがえのない大切な夫がいる。恋した元彼にだってタイに大事な奥さんがいる。 でも、夏の夜空は何か不思議な力を感じさせる。本当に織姫さんと彦星さんの何かの力なのかもしれないと感じるほどに。
私は元彼と付き合っている時、初めての恋をした。年齢差12歳。ギャンブル好きでお酒好き、家族が反対する相手。禁断の恋というやつだった。
真夜中に、時計の鐘の音がなると同時に裸足で外に飛び出した。そして私は夢中で走って彼の胸に飛び込んでいった。バレないように会っていたため、わずか数分しかいられなかった。でも、その時間は好きだった。自分が魔法にかかったシンデレラのような気がして。
シンデレラというには、私はもう年をとり過ぎてしまった。
でも、夏の星空はなんとなく、年齢関係なく、巡り合わせてくれる気がした。
年に1度だけ会える織姫さんと彦星さん。
本当は、あなたの奥さんとあなたではなくて、私とあなたが織姫さんと彦星さんだったら……なんて思ってしまうよ。それはきっと、夏のいたずらかな。
夏の星空に、私は魔法をかけられてしまったのかもしれない。
でも、そういう夏があってもいいかなと思う。
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