郵便局で見つけたペンパルの募集。「手紙」で繋がる大人の友人
社会人になると、本当に友だちを作る機会が減るのだなと実感している。学生時代の友だちも、就職すると会う頻度も連絡頻度も圧倒的に減る。最近会ってないね、遊んでないね、なんて言っているうちに私も25歳。
周りではちらほらと結婚報告を聞く。それを聞くと、ああ、この先ますます会わなくなっていくんだろうなと感じる。職場に同世代の人で話が合う人がいれば友だちのような関係になるかもしれないが、それだって完全な仕事抜きの関係ではない。私はといえば、職場には親と子、あるいは孫ほどの歳の離れた上司がいるだけだ。とても「友だち」という雰囲気ではない。趣味の集まりや社会人サークルなどに参加すればまた違うのだろうが、休日は家にいたいタイプだし、友だち作りのためにそのような集まりに参加するのは億劫だった。
そんな私だが、社会人になってからできた友だちがいる。それは「文通友だち」だ。小さい頃から「手紙」が大好きだった。大学生の頃まで同じ学校に通う同級生と文通をしていたが、就職すると同時にフェードアウトしてしまった。同い年だから仕方ない。就職するタイミングも、忙しくなる時期もだいたい一緒になってしまうからだ。それに加え、結婚などのそれぞれのライフステージも関わってくる。
すっかり文通難民となってしまった私は、ある日、郵便局でペンパル募集をしていることを知る。登録している人の短いプロフィール文を読んで、気になる人がいれば郵便局から住所を教えてもらえる。手紙を送り、お互いが承諾すればめでたく文通がスタートする。なんて素敵なシステムなんだ。私はすぐさまペンパル登録した。
かくして始まった文通。4人の方との手紙のやり取りはもう1年ほど続いている。全員女性だが、年代はさまざま。主に趣味の話で盛り上がっているが、時々、それぞれが抱える悩みなんかも話題になる。基本的に会うことはない。物理的な距離がある相手だからこそ素直に話せることもあるし、その年代ならではの意見や考え方は視野を広げてくれる。それは大いに私の心の支えになっている。
もともと私は即時のコミュニケーションが得意ではない。対面での会話はかなり緊張してしまうし、ラインの既読・返信が異様に早い相手は少し苦手だ。そんな私に「手紙」というコミュニケーションはぴったりだった。急ぎの用事や業務連絡であればもちろん私もラインやメールを使う。しかし、手紙のようにゆったりとやり取りができるものは忙しい毎日に余白と癒しを与えてくれる。時間も手間もお金もかかるが、それすらも愛おしいと思う。そして、文通をしている相手も私と同じような感覚を持っているのだと思う。そのような人たちを「友だち」と呼ぶことになんら差し支えはないだろう。むしろ、日常的に会わなくなって連絡が途絶える学生時代の友だちより、会ったことがなく、会わなくても相手のことを思いやり、手間や時間を惜しまないこの関係の方がより濃いものではないのかと思う自分もいる。
1人でも自分を食わせていけるこの時代。家にいても仕事も買い物もできてしまうこの時代。お互いを思い、手間暇を掛け合う大人になってからできたこの友だちを大切にしていきたいと思う。

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