コンプレックスは悪いこと。そんな思い込みを変えてくれた夫の言葉

私のコンプレックスは、顔の中だけでいくつもある。コンプレックスに小さい頃は気づかなかったが、年齢を重ねるにつれてどんどんコンプレックスが増えていった。
私の目はしっかりとした一重だ。中学生になった頃から自分の目が一重であることにコンプレックスを感じるようになった。高校生になると、二重のマッサージや二重の筋力トレーニングなどをネットで調べてひたすらやっていたが、全く二重にはならなかった。
大学生になり、化粧をするようになってから、一重である事がより嫌に感じるようになった。雑誌で見るようなアイメイクはうまくいかないし、アイラインを引くときつい目にみえてしまうし、自分の納得のいく顔になれなかった。
そんなときに、薬局で二重のりをみつけた。私の中で革命的だった。理想とは程遠いが、一気に目元が華やいだ。二重のりで二重に癖づけることも可能だとネットに書いてあり、私は更なる希望を持った。それから、社会人2年目の24歳頃まで毎日欠かさず二重のりを使っていた。二重のりを使うと二重にはなれるのだが、アイメイクが浮いてしまってとても難しかった。
二重のりを使用しながらネットでアイメイクをする方法を探していた時、一重の目で可愛くアイメイクをする動画を載せているクリエイターが目に入った。衝撃的だった。きつい印象になることもなく、それどころか目が大きく見えるアイメイクだった。「一重だとアイメイクが難しくて、ずっと悩んでいました。何年も研究してこの方法に辿り着きました」と言っていた。
私はその日を境に、二重のりを使うことを辞めた。何回もそのメイク方法を勉強した。一重には一重の良さがある。一重だからできるメイクも似合うメイクもあると初めて感じる事ができた。二重のりを見つけた時よりも自分の中で革命が起きたような出来事だった。
それでも私は、今だに二重に憧れがある。仲のいい友達が一重で悩んでいたのだが、26歳のある日、結婚式のために可愛いメイクがしたい、一生に一回のことだからと、二重整形をした時があった。私も同じ時期に結婚式を控えていたため、正直羨ましい気持ちと私も整形してみたいという気持ちが少しあった。でも、私は実際に整形をしようとは一切思わなかった。ある日見たクリエイターのおかげで一重の自分を好きになれたからだ。
私にはコンプレックスが他にもたくさんある。あんな風になれたらという願望は今でも、何回も思うことがある。夫に自分のコンプレックスについて話した事がある。夫は否定するどころか、「全部チャームポイントじゃん」と一言言われた記憶がある。
コンプレックスとチャームポイントは真逆だと思っていたが、ピンチはチャンスという言葉があるように自分の考え方で人生はガラッと変えることができるのだと気づかせてもらった。
今妊娠しているが、夫は奥二重なので、どうか夫に似てくれと毎日願っている。だが、自分の子供が一重に生まれてきて、それをコンプレックスだと感じたとしても、夫の言葉を伝えたいと思う。そして、どうか自分のことだけは好きでいてほしいと思う。
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