「今日、教えてもらおうと思って!」親友の奥さんと編み物をしている

幼少期から数えると、「友人」と呼べる人は少ないほうかもしれない。小学生の頃から関わりがあって、今でも1年に1回必ず会う友達は2人。高校生の友人で会ってるのは1人。
地元を出てから知り合った人たちのほうがたくさんいて、毎月のように会っている友人も多い。
そんな私の大人になってからの友人は、親友の奥さんだ。親友繋がりなので厳密に言うと友人なのか?と思う部分もあるが、今回は判定を少しだけ甘くしてほしい。
親友に彼女ができたと聞き、私のパートナーも含めて食事をしようと計画したのは3年前。第一印象は「笑顔が可愛い人だなぁ」だった。親友と彼女と私の3人は北海道生まれの道産子という共通点もあり、話が合う部分も多かった。
そこから数回ご飯会で交流し、二人の結婚式にも招待してもらった。二人の晴れ着姿と、大勢の人から祝福される姿を見れて、本当に良かったなと今でも思う。
話は少し変わるが、私は2年前から編み物に再熱している。インスタのストーリーで作ったものの写真を上げていると、親友の奥さんが「編み物、いいね!」とコメントをくれた。編み物に興味のある人が周りにいなかった私は、すぐに編み物の布教をした。「この動画で作るものは、100均でも揃います!」とか、「かぎ針編みの針はちゃんとしたものを買ったほうがいいです!」とか。「まぁ、少し興味を持ってくれたら嬉しいな〜」くらいの気持ちだったが、数日後に彼女のストーリーを見ると、そこにはかぎ針の道具があった。
今までの交流の中でも、彼女の行動力がスゴイことはわかっていた。
私がガチャガチャで北海道ならではのイカ干し機をゲットしたことを載せると、すぐさま彼女から「そんなのあるの!?」と連絡が来て、次の日あたりに同じものが彼女のアカウントに載っていた。また、道産子はみんな大好きなセイコーマートのガチャガチャを載せた日には「それどこにあったの!?」と連絡がきた。販売店舗を調べられるサイトを共有すると、その日の夜には彼女のストーリーにコンプリートを目指して回しまくった写真が載っていた。
そんな人なので、編み物を始めたことにも驚きより嬉しさのほうが勝った。
彼女も編み物の魅力にハマったのか、編み針のセットを買ったり、ちゃんとした手芸店の毛糸を買っている様子を微笑ましく見ていた。
ある日、親友夫婦が私たちの住んでいるところまで遊びに来ることになった。日中は私たちオススメの施設で遊びまくった後、近くの商業施設でご飯を食べ、それは急に開催された。
「今日、教えてもらおうと思って編み物の道具持ってきたの!」
出会った時と変わらない弾けるような笑顔で、編み針と毛糸を出してきたのだ。周囲に人のいる中、彼女のわからない編み方や、ふと気になった編み針と毛糸の持ち方を教えると、「やりやすくなった!!」と嬉しそうだった。人に教えられるほどのスキルではないのだが、私が少しずつ身につけたことも誰かに教えられるんだなという気づきがあった。
その後、彼女と二人で手芸店とカフェが併設されているお店でデートしたこともある。その日は編み物をしながらお喋りをして、夜ご飯を食べて、「まだ喋りたいですね」とBARにも行った。大人になって、こんなに趣味とお喋りを楽しめる人ができるとは思わなかった。
小さい頃から、親友に対して「面白いやつだな」と思ってきたが、彼の選んだ人である彼女も相当に「面白い人」なんだと思う。彼女は私の1つ上だから、お姉さんと感じるところもあるし、可愛らしい人だから私が助けねば!と思わせられる部分もある。とても、素敵な人だなと会うたびに思う。
親友夫婦は、いつも私たちカップルの一歩先を歩いている。「同棲はいいぞ」と親友が私の彼氏に熱弁していた、あの夏も3年前なのだ。
これからも、親友夫婦の背中を見つつ、彼女と編み物を楽しめる日々が続いてほしいなと願っている。
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