【今回のエッセイ】
今思えば、SNSに熱心じゃなくても人間関係をうまくやっていた人、彼氏がいなくても「リア充です!」って感じの人はたくさんいた。それに、どんなにステキな写真を投稿している子でも、みんなに好かれていたわけじゃなかった。 知らない間にインスタという鎖に縛られて私自身の視野が狭まってたのかもしれない。

リア充かどうかは、インスタじゃなくて私が決める

益子寺かおりさん(以下かおり): 私たちのSNSはツイッターとインスタの二つ。ツイッターは「ベッド・イン」として2人共用で使っていて、インスタはそれぞれアカウントを持っています。ウチらはバブル文化のすべてがDAISUKI!なんですけど、そのなかでも当時の“お色気”という文化も、本気でリスペクトしているんです。だからこそ「エロいものこそエライ!」という精神のもと、セクシーな“写ルンです”(写真)もいっぱい投稿してます♡でも、今っていろいろ規制が厳しいじゃないですか…だからSNSの運営側に目をつけられて、画像が表示されないように制限されたりしちゃうの…ゲロゲロ~!

中尊寺まいさん(以下まい): 18歳以上で、自分で解除手続きをしないと、例えば普通にギターとチョメチョメしてるだけの動画や、お犬と淫グリ悶グリしてるだけの写ルン♪ですも表示されなくなっています。ちなみに私の個人的な淫スタアカウントは過去3回もアカBANされましたネ。とほほ。

なぜそこまでして、「エロいものこそエライ!」にこだわるかというと、私たちはバブル時代の『ギルガメッシュないと』みたいなひな壇ギャルのオネエさんたちが幅を利かせていたお色気番組がスキスキス〜なんです。色気って気配であってモロじゃないんですよね。ただようもの。

どう感じるかは受け取り手にゆだねられるものだと思うんです。例えば、クッションいじってコショコショしているのが、セクシーに見えることもある。でも、クッションをコショコショしているだけですよ? バブル時代って、いい意味で「軽薄な明るさ」があった時代だと思うんです。「失敗しても大丈夫!」「面白ければいいじゃん!」っていう、熱量と度量があった時代。ベッド・インの活動もそういった精神のもとにあります。

益子寺かおりさん 中尊寺まいさん ベッド・イン

かおり「ケバいナオンも、モアベターだゾ♡」

かおり: バブル時代の“お色気”って、ギミックがあって、考える余白があるところに情緒を感じてます。何より、エロをちゃんと“笑い”で昇華してエンターテインメントにしているのがかっこいい!だからウチらも、直接的なワードは言わないようにしてるんです。

私たちがリスペクトしてるのは、当時のセクシーアイドル……例えばC.C.ガールズさんやギリギリガールズさんたち、そしてお立ち台に立っていたお姉さま達の生き様。ギラッギラにわかりやすく肉食で、ガンガン肌も露出もするし、性欲も隠さない。そこに憧れたんです。

「ベッド・イン」が活動を始めた2012年って、ちょうどロリロリのアイドルちゃんたちが幅をきかせていて、処女性ばかりが求められる風潮になった時期で。ロンモチで彼女たちに罪はないですヨ!ただ、世の中が揃いも揃って処女性ばかりを追い求めなくてもいいんじゃないかと。それに対抗して、ケバいナオン…“ケバッ娘も、モアベターだゾ♡”っていう反骨精神で「ベッド・イン」の活動を始めたんです。

まい「パンチラくらいは笑って許してチョンマゲ♡」

まい: すべてダメってなるのっておかしいんじゃないかなって思います。トレンディードラマのヒロインのように、女性がタバコを吸っても、お酒を飲んでも、性欲を隠さず「セックスしよ?」なんて誘ってもいいじゃないか、と。やっぱり今の世の中は規制ばかりで、テレビも音楽業界も、自由の範囲が狭まっているように感じます。こちらとしてはポロリはしないけど、パンチラくらいは笑って許してチョンマゲ♡って感じですね。

かおり: ウチらが一番かっこ悪いと思うのは、自分の信念を捨てて、人に媚びること。だから、紅白歌合戦に出るのが目標だけど「ベッド・インっていう名前、下品だから変えて」とか「露出が多いからボディコン着るのはNG!」とか言われたらちょっと違うなって思っちゃう。ベッド・インがこのままの姿のベッド・インとしてNHKに出演させていただける日が来たら、それこそ日本の規制がユルくなった瞬間…「表現の自由」の証しになるんじゃないかなって思っています!あ、でもレディーとして、下ネタはTPOをわきまえて「松・竹・梅」ご用意してるので、安心パパしてチョンマゲ~♡下ネタなしの、バブル用語オンリーでもトークできますヨ!あくまでも、一番にリスペクトしているはバブル文化なので。

テレビもSNSも、どんどん規制が厳しくなっていますよね。いい子ちゃんばかりが求められる風潮って、淋しい熱帯魚…。こんな抑圧が多い世の中じゃ、みんな欲望のはけ口がわからなくなっちゃうよね。だからウチらが先陣切って、ジュリ扇振って、ガンバルンバします!♡

まい「パソコン通信ではなくおナマが一番大事MAN」

まい: この投稿者の方はいいですよね。違和感に気づいている。ロンモチで便利クンな部分はたくさんありますけど、ネットの中だけの社会だけでは、考え方も生き方も、すべてにおいて狭くなってしまいますよ。彼女はきっといい大人や仲間におナマで出会っているんだろうなって思います。パソコン通信ではなく、おナマで通じていること。それが一番大事MANブラザーズ♡ そう、バブル時代はポケベルや家電しかなかったから、どうせ会わなきゃいけなかったしね。

かおり: そうそう!みんな、惑わされないで…自分が生きてる世界・他人が生きてる世界がSNSの中だけって思い込んじゃうのはおかしいし、そんなの生きづらいよぉ~!世の中に「リア充な写真しかアップしちゃいけない」っていう謎の固定観念が生まれてしまったのって、インスタの“写真中心”っていう機能も関係しているのかなって。投稿の中身よりも見た目だけでパッと判断されちゃうから、“シャレオツで素敵な写ルンです”しか投稿しちゃいけない気がしちゃうのかも。使い方は人それぞれであるはずなのにね。

益子寺かおりさん 中尊寺まいさん ベッド・イン

まい: マイナスなこと書いちゃいけないみたいなルールが出来上がっているんですよね。それにそぐわないものが排除されていく。全世界に発信するものだから、ある程度は俯瞰でみるべきですけど、そもそも、いいね!や「インスタ映え」の基準は誰が作ったものなのかって疑問ですよね。結局は自分が何の為にやっているのかがブレちゃうとSNSに振り回されて終わってしまうと気がします。

かおり「自分が好きなこと、ヤリたいこと、表現したいことをズッポシ貫いて」

かおり: この前なんて私、DAISUKI!なプロレスの魅力を伝えるべくシコシコ投稿してる「#かおりのプロレス観戦記」というハッシュタグが、インスタの運営側に「品質が低い投稿なので表示できません」とか書かれて、突然使えなくなっちゃったの~!まいっちんぐ~!第三者に「品質が低い」なんて言われる筋合いないですよ。こちとら魂込めて文章カキコキして発信してるのにぃ~!って腹が立っちゃったわ…。真面目な投稿だから、ちゃんと森高千里さんばりに中身まで「見て」…!(笑)

最近では、芸術や美術といったアートの分野でも「裸=エロ」と捉えられて、SNSに上げられないという信じられないことも起きていたりして、ぶっとびぃ~!ですよね。SNSの規制に縛られ続けていたら、それこそ文化まで衰退してしまうと思う。世の中のみんな、ネットの世界や他人の目になんか負けんな!自分が好きなこと、ヤリたいこと、表現したいことをズッポシ貫いて、こっちが転がしてやんよ!くらいのタカビーな気分で一緒に闘っていきましょ♡