人生でいちばん生き辛かった20代

まだ30数年しか生きていない私ですが、人生で最も生き辛かったのは20代でした。
誰にも相談できない悩みを抱え、毎日のようにネットでその答えを探していました。でも検索で出会う情報は、次のようなものばかり。彼にプロポーズさせる方法、バリキャリでも男に引かれない方法、卵子の老化、20代からのアンチエイジング、脱毛しなきゃ彼に嫌われる、残業の疲れを見せないメイク術。

もっとディープな情報はないかと「まとめサイト」を見れば、30女はゴミだとか、メンヘラ女、スイーツ(笑)など女性蔑視だらけのワードを目にしてしまいました。
私に必要なのはネット検索ではなく、睡眠と休養だったなと今では分かりますが、当時はそれでもネット検索にかじりついていました。

「かがみよかがみ」のエッセイがTwitterで流れてきたとき、もし20代の時にこんなメディアがあったら・・・と願わずにはいられませんでした。ここには、どの若い女性向けメディアでも語られてこなかった女性の声に出会えるからです。

20代の私に読ませたいエッセイ

20代の私に読ませたいと思った記事を一部紹介します。

仕事のために自分をすり減らさないで。生き残った私からのお願いです

残業続きでフラフラになっていた時に読みたかったです。高橋まつりさんの事件が起きる前まではブラック労働=男性の問題というイメージが社会的にも強かった。自分の気持ちを分かってくれる記事にはなかなか出会えませんでした。

あの日心に蓋をした私を、フェミニズムはそっと抱きしめてくれた

自分がセクハラされた時、誰かがセクハラされてるのを目撃してしまった時にこのエッセイを読みたかったです。フェミニズムが自分を抱きしめてくれる存在だとは、私はずっと知りませんでした。フェミニズムってなんか怖そうだし、男性から引かれそうだから決して近づいてはいけないと思っていて。初めてフェミニズムの本を買った時も、人に見られないようにビクビクしていました。

ひとりでケーキを食べるのは嫌。憧れの上位カーストで持った違和感 

すごく分かります・・・!私は地方出身なのですが、東京出身のイケてる同僚へのコンプレックスで悩んでいました。その時に読めていたら心を救われていただろうと思います。

あなたは「美人が憎い」と思ったことがありますか?

美人の後輩が入ってきて、自分のポジションが奪われると焦っていた頃に読みたかったです。こちらのアンサーのようにも見えるエッセイ、「ナチュラルボーンカワイイの私。「黙っていればモテる」らしいも良かったです。美人本人が自分の美をどう思っているかについては、なかなか知ることができない。美で女性を分断するトラップには、できればもうハマりたくないものです。

わたしの名前は「事務さん」なんかじゃない

総合職=女子力が低くて生意気。派遣社員=可愛くて気遣いできる。そのように男性社員たちに揶揄され、派遣社員の女性に複雑な思いを抱いていたことがあります。その時にこのエッセイを読みたかったです。雇用形態に関わらず私たちは1人の人間。分断されてはいけなかったと今なら思えます。

よいサロンは「なし」を「あり」に変えてくれる場所
この見出し、もうそのままルミネとかの広告になりそうですよね。美容によって傷つくこともあれば、自尊心がブレイクスルーすることもある。そんな美容の醍醐味を噛み締めたエッセイです。

あとは、毛にまつわるエッセイ全般がよかったです!私は毛を剃りすぎて肌がボロボロになったり、脱毛に引くほどのお金を費やしてきました。「毛を剃らない」という選択肢を知っていたら、もっと楽になれたのかなと思います。

私たちは、都合のいい生き物じゃない

30代になった今だから分かるのですが、20代の女性は日本中の期待と欲望を一身に背負わされて生きているんです。でも私たちはスイーツやコスメやモテの話にしか興味がなく、綺麗で毛がなくていい匂いのする生き物ではありません。男性より雇用が不安定でも、笑顔で男性のご機嫌を取り、バリバリ働きながら子供を3人産んでキャラ弁を当たり前のように作るような、都合のいい生き物でもありません。(その生き方を否定はしないけど、それが当たり前だと思ってほしくないのです。)

もし20代の頃から、違和感を発信できていたら

20代の頃に語れなかった言葉を、ちゃんと世の中に存在させたくて、2019年からTwitterやnoteで細々とフェミニズムの発信を始めました。今年5月に投稿した「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグは多くの人に広がって、メディアや政治家、国会にまで届き、法案の廃案につながりました。未だに実感はないのですが、たった1人の声からでも世の中を動かすことができるのだと知りました。

でも、もし20代の頃に自分の違和感を発信できていたら?そんな妄想をすることがあります。若さが全てではないけれど、若い時にしか出せない無尽蔵のパワーというのは存在します。それを湯水のように男社会に消費させたり、自分を責める以外の方法で使っていたら、私はどこまで行けたのだろうかと遠い目になることもあります。

言葉にできれば課題が分かる、課題が分かれば解決策が考えられる

かがみすとのみなさん、読者のみなさん、どうか「こんなこと言っちゃっていいのかな?」と思うようなことも、どんどん言語化してみてください。たとえ完成度に自信がなくても、コンプレックスをアドバンテージにまでもっていけなくても。「かがみよかがみ」上でもいいし、学校や家族や職場やソーシャルメディアでもいいし、心の中の声でも、どのような方法でもいいのです。あなたが投げてくれた言葉が、誰かの気づきや救いになるかもしれないし、誰かが声を上げるきっかけになるかもしれません。今は匿名での発信だとしても、いつかリアルで言える練習になるかもしれません。言葉にできれば課題が分かるし、課題が分かれば解決策が考えられます。

今まで封印されてきた私たちの言葉を、この社会にちゃんと存在させるために。その言葉が世の中に広く知られるようになった時に、日本はもっと私たち女性にとって生きやすい方向に動いていくと信じています。

◆読んだひと  笛美

30代のフェミニスト会社員。2019年から広告制作の仕事のかたわら、職場では言えないフェミニズムの話をSNSで発信し始める。2020年5月に投稿した「#検察庁法改正案に抗議します」と言うハッシュタグが1000万ツイートを超えるほどの広がりを見せ、国会で法案が廃案に。仕事で社会を変えたいと思いつつも進路を迷い中。いまはフェミニズムや政治について日常会話の中で話題にしていく「#今日のぶっこみ」という小さなアクションをルーティンにしています。

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