「買い物に妥協しない」
これが私の2021年の宣言だ。
決断ができなくて買い物が苦手な私
私はこれまで、中々モノを買う決断ができなかったり、お得なもので済ませることができなかったりしてきた。買い物が苦手な自分に嫌気がさしたことが、幾度となくある。
去年からずっと、イヤリングが欲しいと思っていた。でも、1つも買うことができずにいた。
アクセサリーショップに行くと様々な色の、形の、素材のイヤリングが並んでいる。いくつも見ているうちに自分がどんなイヤリングが欲しいのか分からなくなった。今の自分に似合うものを選べばいいのか。なりたい自分のイメージに近いものを選ぶべきなのか。そもそも似合うってなんだ。私のイメージなんてどんな感じだ。頭が混乱して、何十分もお店から出られない時もあった。悩んだ挙句、何も買えないという日々が続いた。
「こんなに長く悩んだのに買えなかったの?」
待ってくれていた母に苦笑されたこともあった。
もう一生好きなイヤリングなんて見つからないんじゃないか。そもそも私の選ぶハードルが高すぎるのか。適当なものを選んで試してみたら案外気に入ってくるものなのかもしれない。色々なことを考えていたらいつの間にか1年以上経っていた。
「これだ」と思えるイヤリングに、ついに出会った
11月の初め、近所のショッピングセンターに映画を観に出かけた。
上映時間まで時間があった。丁度来年の手帳を買いたかったので、文房具が置いてありそうな雑貨屋で時間を潰すことにした。
名画がプリントされた文房具の特設コーナーがあった。メモ帳を手帳代わりに使うのもいいな、と思って眺めていると、その横にイヤリングがあるのを見つけた。1つには私の好きなフェルメールの、真珠の耳飾りの少女の絵がプリントされたイヤリング。もう片方は真珠のようでアシンメトリーになっていた。
これだ、と思った。
自分に似合うかは分からない。でもこのイヤリングを着けて行きたい場所が、どっと頭に思い浮かんできた。美術館に行く時に着けて行くのにこんなにピッタリなイヤリングはないな。アートの好きな友人と遊びに行く時に着けて行けば自慢できるだろうか。
値段を見ると、4000円。想定していた予算は2000円以内だから大分オーバーだ。でもそんなことはもう気にならなくなっていた。高くても欲しい。帰りに買うつもりだった好きな作家の新刊を我慢してでも、このイヤリングを逃したくない。心の底からそう思った。
家に帰って何度もイヤリングを眺めた。真珠の耳飾りの少女と目が合う度に胸が高鳴った。初めて外に着けて行った時はドキドキした。右耳の絵画が曲がっていないか。そもそもちゃんと耳に着いているか。落としたりしていないか。誰かと話している時もつい耳に手をやり、イヤリングの有無を確認する癖ができてしまった。
高くても絶対買いたいモノと出会うときのために
この消費体験は自信になった。買い物が苦手な私だが、このイヤリングみたいに、思いがけず運命の出会いをする時がちゃんと来るのだ。高くても絶対に買いたいと思えるモノだけを自分のペースで買う。そんな消費スタイルも中々悪くないじゃないか。
2021年、私はついに社会人になる。学業の合間のアルバイトよりずっと多くのお金を働いて稼ぐことに、たぶんなる。入ってくるお金ももちろん大事だ。でもそれ以上に、出ていくお金も大切にできる大人に私はなりたい。そのためには、素敵な買い物をすることが絶対条件だ。
妥協しない買い物の追求。これが私の2021年の目標だ。