父と母が作り出す家庭は、いつもどこかいびつだった

私は親友といえるほど仲良く、互いに尊敬し合える関係の人が現れない限り、結婚したくないと思っている。
というのも、私の育った家庭環境が大きく影響している。
詳しくは知らないが、私の親の結婚はいわゆるお見合いのようなものがきっかけだ。
父親はかなり頭がいいが、他人に気持ちを伝えることがとても苦手。母親は天然ボケでといった感じで、人付き合いは得意だが自由人で色々抜けているところがあるため、ふたりの会話はかみ合わないことが多かった。
そんな父と母が作り出す家庭は、いつもどこかいびつだった。
「家族ごっこ」をしているように作られた会話と笑顔。与えられた家族としての数十年を、波風を立てずに終わらせるよう意識しているみたいだった。長期休みになると義務感に駆り出されるようにディズニーランドに出かけたが、小学生の頃でも全力で楽しいと思ったことはなかった。
もちろん、私の親は毎日しっかりと栄養のある食事を与えてくれて、習い事もいろいろとさせてくれて、金銭的に何不自由ない暮らしをしていたが、友達の家が家族みんなで本当に仲が良さそうな様子を見ていると、どうしてもうらやましくてたまらなくなった。
そんな私は、何かから逃れるように進学と同時に家を飛び出した。

女子校の同級生が語る「結婚観」に感じた古めかしさと違和感

私は一時女子校に通っていたことがある。
その際の友人は、大多数が「早くお金持ちと結婚して専業主婦になりたい」と言っていた。
関西の少し田舎の方にある学校に通っていたから、価値観のアップデートも都会よりは遅かったのかもしれない。けれど、「東京オリンピック2020」のチケット購入が話題に上っている頃の話だ。
まだこんな考え方の人が多いんだ、と悲しくなった。そんな彼女たちの根底にある思いは、「自分は社会の荒波には乗らず、金銭的・社会的な安定を手に入れたい」というものなのではないだろうか。もし私が男性だったら、こんな女性は絶対に愛することはできないと思うのだけど。
このような話を聞くたびに、父と母が作り出すいびつな「家族ごっこ」を思い出しては忠告したくなる想いをとどめていた。

唯一自分で選べる家族である結婚相手は、自分の心に正直に選びたい

「自分ひとりでも生きられる自信がついたから、誰かと一緒にいられるようになった」
壇蜜さんがご結婚を公表された際に、おっしゃっていた言葉だ。
私の想いも、この一言に尽きると思う。
唯一自分が選べる家族である夫。私は両親とは違って…いや、むしろそんな環境で育ったからなのかもしれないが、本当の家族の絆を作りたいなと思っているので、慎重に、素直な気持ちで相手を選びたい。
両親の若いころは「30代で独身なんて。そろそろ結婚しなよ」と周りから口を出された時代。そんな言葉に焦って結婚をして、本当に心が通じ合っていない人と何十年も過ごすなんて地獄だ。私が近くで見てきた「家族ごっこ」になると思う。
本当は、父と母はひとりで生きていた方が気楽なタイプだと思う。だからそういう人が「早く結婚しなよ」と言われない社会にもなってほしい。
だから私は、「いいご縁があれば」というスタンスで結婚と向き合っていきたい。