もうすぐ付き合って1年が経つ彼に、ラブレターがわりのエッセイを残そうと思う。

彼と知り合ったのは2020年の春。彼が就職で私の住む県に引っ越してきて、共通の知人から紹介されたのがきっかけで連絡を取り合うようになった。
縁もゆかりもない地で社会人としての生活をスタートさせた彼にとって、連絡がマメな私は都合が良かっただろうし、私自身、毎日「おはよう」や「おやすみ」をくれる彼の存在は日々の癒しになっていた。

知り合ってから1ヵ月ほどたった日、私と彼は恋人になった。
思えば、付き合うにあたっての告白も此れと言ってなかったし、聞こえは良くないけど流れに身を任せた結果だ。だけど当時から私は確かに彼のことが大好きだった。

性格は真逆で共通の趣味もないのに、一緒にいて落ち着くのは彼のおかげ

彼と私は面白いくらいに真逆の性格で、似ているところはほぼないし共通の趣味も特にない。彼は真面目で自分の世界があって超インドア。私は大雑把でマイペース、休日は外出しないと気が済まない。彼の趣味はゲーム。私は音楽。好き嫌いが少ない彼と偏食気味の私。全く合いそうにない二人なのに一緒にいるのが苦じゃないどころか落ち着く。それは間違いなく彼の人柄のおかげ。
彼は絶対に私のことを「おまえ」と呼ばないし、傷付けるようなことはしない。それどころかいつも褒めてくれる。絶対に可愛いはずがない寝起きの顔も、「かわいいね」なんて言ってくれるからチョロい私はすぐに笑顔になってしまう。

お恥ずかしながら20数年の人生の中で『恋人』と胸を張って呼べる相手は彼が初めてで、仲のいい友達にも「半年もつかなぁ笑」なんて冗談まじりに言われていた。それに対して私も「まぁ、合わなかったらフラれるだけだから笑」と返していた。
それでも私たちは喧嘩一つすることなく今でも仲良く過ごしている。

大事にしているのは「結局は他人だということを忘れない」こと

彼と付き合って学んだことは沢山あるけど、その中でも特に大事にしていることがひとつ。
それは「恋人といえど結局は他人だということを忘れない」ということ。
振り返ってみると今までの私は「自分の気持ちをわかってもらえない」と相手に不満を感じ、喧嘩になることがあった。
しかし、面白いくらいに真逆な彼とは「わからなくて当たり前」という認識がスムーズに出来た。彼も同じ考え方なのでお互いに干渉しすぎず、期待しすぎない。
思っていることや要望ももちろん伝えるけど、あくまで『相手の考えは否定しない』のが前提だ。
ドライだと思われてしまうかもしれないけどこれが私たちがうまくいっている一番の理由だと思う。

「好き」なんて直接言われたことはあまりなくても行動で愛情が伝わる

どんなに忙しくても付き合ってから1日もLINEを欠かしたことはないし、地震が来たら自分の身よりも私のことを案じてくれて守ってくれる。
寝起きに突然よくわからないオリジナルルールのゲームを持ちかけてくるのも、ドライブ中に二人で大熱唱する時間も、デートの帰りに寂しそうにハグするところも全てが愛しい。「好き」なんて直接言われたことはあまりないけど、それでも行動で愛情が伝わるからそれでいいのだ。

始まりは流れだったかもしれない、「すぐに別れるかも」なんて自虐もしていた。
だけど今ではこの先何年も、何十年も彼と一緒に居たい気持ちだ。
まだ1年弱の関係なのにまるで何十年も一緒にいるかのような感覚で、彼も時々「僕たち老夫婦みたいだね」と笑って言う。そんな彼といつか本当にそうなれたらいいな。

惚気まみれになってしまったこのエッセイが、何十年後にでも愛する彼の元に届きますように。