ふられてばかりだった。
いつも離れていってしまって、大泣きするのは私ばかり。喧嘩もまともにしたことがない。喧嘩はいつだってそのままに別れ話だった。

恋をして、ふられて、どうして別れたのかわからず、先輩に〈こういうことがあったのだ〉と相談したことがあった。先輩は、「相手の男の話も聞いたけど、やっぱりそれぞれに思う理由があるんだね」と言った。登場人物2名の恋愛はひとつの出来事でも2通りの見方がある。相手がどう思って自分をふったかなど、本当は一生わからないままなのだろう。

特別な出会いを欲していた私はあっという間に彼に惹かれていった

結婚したいと思っていた、楽しく一緒に生きていけるのではと期待していた人がいた。
当時の彼と同じ年齢になって初めて、あんな年下の甘ったれたオンナノコだった私と結婚なんてできなかっただろうとも思う。でも、ふられ方はあんまりだった。

大学院生の彼からアプローチされたのは大学の図書館だった。気になっていました、連絡先を教えてください。と書かれた付箋をもらった時から、特別な出会いを欲していた私はあっという間に彼に惹かれていった。
学部もサークルも違ったため、人となりを知れるのは本人からだけだった。付き合ってからもあまり友達を紹介してもらえず、私にくれる優しさだけを信じていた。
「あの先輩、あまり女の子関係のいいウワサ聞かないよ」と彼のサークルの子から言われたこともあったが、過去のことと思い、彼女がいる時にはフラフラしないという彼を信じた。私とて、彼氏のいない時期は、異性に構ってもらいたがるタイプだったので、納得もしていた。

笑っちゃうくらい、私のために時間を使ってくれない、自己愛の強い人

1年ほどで遠距離恋愛が始まったが、社会人の彼のスケジュール優先で、2時間かけて会いにいくのは私から。私のところに来るのは大学時代からの行きつけの美容室の用事がある時だけ。休日は趣味優先で、その趣味仲間にも彼女だと紹介してもらえなかった。「照れくさい」のだとか、そんな風に言われた気がする。思い出すと笑っちゃうくらい、私のために時間を使ってくれない、自己愛の強い人だった。けれど、当時の私はこの人と同じまちに行くのが目標だった。

久しぶりのデートで、映画をみて、まちを散策した。手をつなぎ、頭をなでてもらったことを覚えている。ちょっと休憩しようとベンチに座ったとき。「実は、話したいことがあるんだ」と、言われたのだ。デート中の彼女に対して「気になっている子がいるから、別れてほしい」と。

天秤に、かけられていたのだろうか。今日過ごしてみてどうしようか考えていた?いや、彼の中でははじめから今日が最後のデートだった。だったら、どうして今日会った最初に言ってくれなかったのだろうか。そんな彼の横で、最愛の人と過ごせる時間を心底楽しんでいたのだ、私は。のんきな顔で笑って、彼の最後の思い出作りに付き合わされていた。

共通の知人のひとりでもいたら、その人に八つ当たりしていただろう

相手は趣味の関係の子で、気になっているだけとのことだったが、後になって、もう既にこの時には付き合っていたことを知った。逆算すると、遠距離を初めてすぐのころからもう付き合っていたようだ。その日私はやり直すことは出来ないのかと泣きながら話をしたのだが、そんな事できるはずもなかったのだろう。
ひどいふられ方だった。

久しぶりにあの日の事を思い出すと、その後友人たちが私のことを本当に気の毒に思ってくれたことを思い出す。気になる子と称された女性と既に付き合っていたと知るまでは荒れて復縁を願っていたし、知ってからはSNSでも匿名でたくさんの悪口を吐き出した。もし、共通の知人のひとりでもいたら、その人に八つ当たりしていただろうとさえ思う。いなくてよかった。復縁のチャンスも無くて正解だった。私にも悪いところがあったのだろう、と思わない終わり方はこの人との恋だけである。