幼い頃に両親が離婚し、母子家庭のもと育った私は、それ以来父に会ったことは数回しかない。
離婚してから初めて会ったのは、私が中学生になり、学校生活に嫌気がさして父方の実家へと家出した時だった。どんな心境で私を家に泊めてくれたのかは覚えてはいないが、結局母が来て無理やり車に詰められ帰らされた。
それからは母の黙認のもと、父と遊んでは、お小遣いの一万円をもらった。家出をした私が心配だったのか、色々と話を聞いてくれた。戸籍上他人になっても、私を娘として見てくれていることが嬉しかった。
しかし、ある日のこと、父は私にこんなことを言った。

ある一言に絶句、それ以来…

「どうせお金もらいに会いに来てるんでしょ?」
今でも覚えているほど、とてもショックだった。
確かに子どもにとっては、こんなにたくさんのお小遣いをくれるのは嬉しかった。でも、一番の目的は、父との家族の絆を保ち続けたかったからだった。
たとえ距離を感じて敬語で接するようになったとしても、私の父はただ一人だ。だから父も私を可愛がっていると思いたかった。それを否定されたような気がして、何も言えなくなった。
それから、社会人になる直前の祖父の墓参りを最後に会うのをやめた。連絡も全く取り合っていない。むしろ、父から何の連絡も来ないので、もう娘としての心配をしなくなったのかと不安にさえなっている。
母親とも連絡を絶っているので、今の私は両親を頼れない。天涯孤独に等しい状況だ。

会えないあなたに今ここでメッセージを伝えます

父へ。実は、伝えたいことがあります。
一つ目は、今の私はフリーターであること。
二つ目は、母に、障害を持っていることを罵られたこと。
三つ目は、そんな母のせいで最初は健常者枠で働かなければいけないと焦っていたけれど、今は障害者枠で転職活動をしていること。
四つ目は、精神障害者健康福祉手帳の3級を取得したこと。
五つ目は、結婚する気はないので孫の顔は見せられないこと。
六つ目は、こんな私を、いつまでも娘だと思ってほしいことです。

あなたと私は血のつながった関係です。今でも会いたい気持ちがあります。
お金はいりません。一緒に美味しいものを食べて、お互いの近況を話し合ったり、楽しい体験をしたりして、親子としての絆を深めたいと思ってはいけないのでしょうか。
自閉症なので上手くは話せません。それでも、私はあなたをずっと父親だと思いたい、という気持ちがあります。
わがままを言うと、あなたがパチンコにのめり込まなければ、もっとまともな人と結婚できていれば、離婚なんてせず、母に罵られることもありませんでした。肩身狭い思いをしながら生きてきた私の気持ちを理解することはできないかもしれませんが、父親らしく気持ちに寄り添ってほしいです。
最後に七つ目です。今でも大変な思いをしながら生活していますが、なんとか元気で生きています。どうか、この世の中ですがお元気でいてください。