アダルトビデオの宣材写真に映るわたし。楽しい。そう思った

「真面目そうだね」そう言われることが多々ある。
真面目?私が?と思う。
真面目とは何か。しっかりしてる、とか良い意味ならいいけど、きっと違う。
堅苦しそう、つまらなさそう、これといって印象がない。そんなイメージなんじゃなかろうか。私がネガティヴだからそんな風に思うのだろうか。

私は今、鬱病で休職中だ。「真面目」だからかもしれない。半年も会社を休めるとなり、じゃあ何か、今まで興味はあったけど取り組めなかった事をしようと思いアダルトビデオの事務所に入った。意外にもこの世界は真面目で、契約書もしっかりしていたし面接時にはお茶が出るような所だ。よく「落ちた」と言われる世界だが、決してそんなことはない。そこには真剣に取り組む人が沢山いる。

宣材写真も撮った。
「じゃあ次脱いでみようか」
ちなみに脱ぐといってもブラジャーだけでパンツは履いたままである。抵抗感は全くなかった。
笑顔でポーズを決めて写真に映るわたし。楽しい。そう思った。こういう撮られる側の仕事ができたら良いのに。

私は真面目じゃない。なんでそう見られるんだろう

でも仕事は全く来なかった。面接にも何社か行ったが、26歳という微妙な年齢、自分のルックス、決して大きくない自分の胸。この世界にも出たい子がわんさかいて、なにか特出してる子、芸能活動をしていた人しか仕事は来ない。そんな現実を突き刺された。
(…誠に申し訳ございませんが、自分とは合わない世界ではないかと改めて考え…)担当者へ事務所を辞める旨のメールを作成した。「真面目か」と自分でつっこんでしまうような硬い文章。

それでもお金が足りなくて、チャットレディの仕事を始めた。どんな仕事と言われれば、パソコンの向こうにいるユーザーに自慰行為を見せる仕事。
「真面目そうだと思ったけど…」ここでもそう言われた。
なんでそう見られるんだ。こんな仕事してる時点で「真面目」なんかじゃない。私は真面目じゃない。こんな乱れた格好を親や友人が見たらどう思うだろう。嘘に塗り固められた私のどこが真面目なのか。

「真面目」はつまらないけれど、存在を消せる

昔のことを考えてみる。学校では模範生徒と言われるような服装に、休日も学校に通い勉強し、アルバイト禁止と言われれば従い、ケータイ禁止と言われれば持ってくるのを辞めて、眉毛をそるなと言われればぼさぼさにし、爪を短く切れと言われれば従い、規定のシャツを着て、髪の毛をぎゅっとひとつに縛って。
「真面目」だったかもしれない。大学だって無遅刻無欠席、成績もある程度良かった。どこから真面目じゃなくなったのか…。

でも小学校の頃から不登校だった。幼稚園から本当は行きたくなかったが、反抗する言葉を知らなかった。
中学では虐められた。「真面目」はつまらないけれど、存在を消せる。目をつけられなくなる。その場は平和に過ごせる。自分から選んだ道じゃないか。その癖今はその「真面目」に困っている。

どうすれば良かったのか。またこれからどうすれば、私は私らしく生きることができるのか。
こんな自分で作った「真面目」の柵に囚われずに。