小学生の頃、私は両思いだった彼がいたが、お互い恥ずかしがって全く話さず、机の中や下駄箱に入っている手紙でやりとりするだけだった。話はしなかったが、本当に彼のことが好きだった。
そんな、小学6年生のバレンタイン。私は受験が終わり、学校生活を楽しみつつあった時に、ある噂を耳にした。
「彼、あなたのこと好きじゃなくなったらしい」
傷つきたくないから噂話を確認せずに、友達になろうと手紙を書いた
私は頭が真っ白になり、本人に確認することもなく、自分が傷つくのが嫌で、バレンタインに軽い気持ちで、手紙に「あなたのことは実は5年生の頃から好きとは思っていなかった。これからは友達として接して普通に欲しい」と書き、これまでは手作りだったチョコレートも市販のチョコレートにした。
こうすれば、今までみたいに話しづらかったりすることもなく、普通に友達として話しかけてくれるだろうと思っていたが、そんなことはなく、ホワイトデーは彼のお母さんから申し訳なさそうに手作りのポーチを貰った。
私は、受験をしたので彼とは違う学校に通うことになるが、またいつでも会えるだろうと思い、卒業式にも特に行動を起こさなかった。卒業式前には、私が先に彼を好きじゃなくなったということは噂として聞き、知っていたはずなのに。
私は彼がまだ好きだった。何年もまともに話してなかったけれど、話しかけてほしかった。
私は好きな人を自ら振ってしまい、彼は吹っ切れたかのように中学校では多くの人と付き合っては別れてを繰り返していたらしい。私は彼が傷つくことも考えず、自分が傷付かなければ良いということだけ考え、彼を傷つけ、彼の前から消えてしまった。
あの時、勇気を出さなかったことの仕打ちとして、後悔と罪悪感が残る
小学校にいる間に自分の本当の気持ちをいつものように手紙に綴るべきだった。どうせ中学校は違うんだし、恥ずかしいことなんて何もない。今ならそう思える。
その後、私は女子校に進み男の子とは無縁の世界に入り、彼が傷ついているかもしれないということにすら気づかず、21歳になってようやく気づいた。自分が傷つくことを避ける能力はあったくせに、他人が傷つく可能性に気づくことができなかった。
もっと素直になっていれば彼との関係はどうなっていたのだろうか。
素直になって手紙を出すべきだったということは頭では分かっているが、実際、あの時の自分は彼から何かしらのアクションがあるまで私からは行動しないという、変なプライドを発揮していた。私は自分が傷つくことを避け、彼は私のメンヘラに気づくことなく、手紙を真に受け、傷ついた。
ありがちなすれ違い。そう一言で片づけられるかもしれない。
ただあの時、少しの勇気を出さなかったことで、仕打ちとして9年越しに後悔と罪悪感が襲ってきている。噂話だけを信じて彼から逃げた私は、逃げた自分と彼を傷つけた自分を責めるしかない。
勇気を出して挑戦することは、未来の自分にとってはメリットが大きい
自分が当事者でいられるうちに勇気を出して行動することで、未来の自分へ無駄なことを考えなくて済む生活をプレゼントすることができる。
何事も当事者のうちは新しいことをすることは怖く、自分を守りがちになってしまい、後々後悔が湧き出てくる。だけど、少し勇気を出して挑戦することは、未来の自分にとってはメリットの方が大きい気がする。
振られるなら振られるで、引きずりはするが、踏ん切りがつくはずだ。
彼はきっとそうだったのだろう。私はあの時自分が行動しなかったせいで、未だに彼のことを考える時がある。未だに彼のことを考える私はまだ彼のことが好きなのかもしれない。
後悔をより短くするために勇気ある行動を。