新型コロナに振り回される社会、価値観を押しつけてくる周囲。生きづらい世の中は、私たちの心を乱し、身体をむしばんでいく。そんなときに力になってくれたのは、愛する人や自分の好きなもの、そして……。カテゴリーにおさまらない「その他」のエッセイのなかで、2021年に最も読まれたエッセイ5本を紹介します。

<第1位>

2階建アパートが4棟並ぶ、小さな集落。容姿をきれいにしていた母はいじめにあった(神崎さくら)

【あらすじ】感情が不安定な母だったが、彼女が酷い母親だったとは思わない。彼女の精神状態にも歴史があった。元美容師で、身綺麗にしていた母は集落でいじめにあっていた。そして、その冷たい視線は私にも注がれた。

<第2位>

アイドルを目指して挫折、受けたいじめ。苦しかったけど今の私が好き(萌々花)

【あらすじ】悩んだとき、私は未来の自分に向けて手紙を書いた。アイドルという夢が挫折したとき、いじめにあったとき……。素敵な大人になれるのか、私は未来で笑えているのか。たくさんの手紙を読み返すと自分だけの記録になっていた。

<第3位>

実家のご飯が温かくて、涙が止まらない。母に強制的に病院へ連れていかれると(SEINA)

【あらすじ】社会人2年目で新人の指導に。張り切ってアクセルを踏み続けていると、涙が出るようになった。次は全く眠れなくなった。過呼吸、手の震え……。実家の母だけは、私のエンジンがぼろぼろになっていることに気がついてくれていた。

<第4位>

「女の子は給仕をしなくちゃ。男の人が食べ終わるまで我慢してね」母は私に謝った(青紫蘇)

【あらすじ】女に生まれたことはハズレクジ。親戚の集まりでは、空腹を抱えて給仕。学年1位を取ったら祖父にとがめられた。恋人から求められたのは「仕事はやめないで。ただし家事は完璧に」。幸せの入り口で死にたくなった。

<第5位>

夫がコロナに感染。出社停止になって初めて、激務で弱った心に気付いた(むぎなが)

【あらすじ】コロナに絶対かかってはいけないと神経をすり減らしながら、出社、接客、従業員対応に奔走した。しかし、夫がコロナに感染。強制的な空白期間が訪れた。久しぶりにまじまじと見た自分の顔は酷いものだった。

以上、2021年に「その他」カテゴリーで最も読まれたエッセイ5本でした。
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