2022年。私は5年務めていた会社を辞めて、新しい場所でキャリアレディとして働くことが決まった。

「なんで営業がいいの?」社長の言葉に私は過去の経験を答えた

ワクワクもあるがもちろん、不安だって同じくらいある。
しかし、不安をかき消すくらいに面接での出来事が嬉しかったのを覚えている。
最終面接、社長と1対1で話した時のこと。
書面での質問に答え、それを深掘りされるというものだった。

しかし、社長は一通り目を通すと、営業の大変さについて語り始めた。
「もっと楽な仕事もあるのにさ、なんで営業がいいの?」
その質問にわたしは、何も考えずに当たり前のように口が動いた。

「わたし、はじめて就職するときから友達に営業向いてるよ!ってたくさん言われてきたんです。
でも、高校でアルバイトしたときに派閥にあって苦しくて逃げるようにやめたんですよ。それがトラウマで、就職もなるべく人と話さなくて済む工場にして……でも工場だって、人と関わらないで仕事するなんて無理な話じゃないですか。

苦手なおばちゃんやいじめてくる先輩もいたけど、簡単にやめてやるか!!って意地でも続けたんです。苦手なおばちゃんも、先輩も、好きになりたくて仲良くなりたくて、わたしにだめなとこあるなら全部認めて治して、ちゃんと自分とも向き合おうって。そしたら、気づいたときには苦手な人たちと笑ってたんです。
それがきっかけで、『人と関わる』ことが心から楽しいって思えるようになったので、営業に挑戦したいって思ったんです。
正直、楽しみで胸がいっぱいです!」

「落とす理由が何もない」。社長の言葉が過去の私を全て肯定してくれた

長くなったな、話しすぎたかな、と思ったが、そう思う間もなく店内に社長の笑い声が響き渡った。
「え!?」
わたしはびっくりして一時停止していると、社長は言った。

「あなた、ほんと面白いね!!
あなたみたいなね、素直でまっすぐで笑顔も素敵で、感情がまっすぐ入ってくる人はじめてだよ。きっと、お客さんの人気も高いだろうな。まだまだ勉強しないといけないこともあるけれど、本当に面白い。ここ最近の面接じゃ、60~80人くらいほとんど落としてきたんだよ。
あなたがよければ、ぜひうちに来て欲しい。落とす理由が何もない」

社長のこの言葉が、過去のわたしを全て肯定してくれた気がして、胸が痛くなるほど嬉しかった。

尊敬している女性の社長さんが言った言葉は、私の目標になった

2022年、私には目標がある。

それは、「セルジオロッジのパンプスが似合う女性になる」ことだ。
「買う」ではなく「似合う」のが大切で、「ファッションに迷ったら、靴にお金をかけなさい。靴にはその人らしさが一番出る」とは、私が尊敬しているとある企業の女社長さんの言葉だ。

その女社長さんは、「仕事が遅い部下にイラついてしまう」という意見に対してこんなことを言っていた。
「それもすごくわかる。けれど、いくら遅かろうが自分の仕事を1%でもやってくれているのであればそのことに感謝できるようになりなさい。遅いことを怒るのじゃなくてやってくれてありがとう。そう思って言えないのなら、まだあなたは一人前じゃないね」

ハッとさせられた。なんて素敵な考え方をするのだろうと心が揺れて、わたしが部下ならこの人についていきたいと思った。
そして、この女社長さんの履いているパンプスが「セルジオロッジ」なのだ。
だから、少しでもこの人に近づきたくて、セルジオロッジのパンプスが似合う女性になりたい。

そのために、2022年から、全く未知で未経験の仕事に本気でぶつかっていくと決めた。