社会人1年目。はじめてのひとり暮らしを経験していた時に出会った

読んで字の如く、物理的な意味でも今の「私」を作った本は「世界一の美女になるダイエット」(エリカ・アンギャル/幻冬舎)だ。

この本ではミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントとして数々の日本代表を指導した著者が、内面からより美しく、健やかに輝くための食とライフスタイルを見開き1ページ1テーマずつで、簡潔に教えてくれる。

タイトルだけを見て「なんだ、ただのダイエット本か……」と侮るなかれ。
私は20代前半にこの本と出会い、自分自身をプロデュースする実感を得、以来天下無敵の心持ちなのである。
詳しく説明させて欲しい。

当時の私は社会人1年目。
就職と同時に縁も所縁もない土地へ配属され、はじめてのひとり暮らしを経験中。
学生時代、実家にいた頃に家事を全く手伝ってこなかったので、仕事と同時に家事もキャッチアップしなければならなかった。

しかし、食に関しては、営業職だったので夜ご飯など会食が中心だったものの、趣味も兼ねてお料理教室に通っていたこともあり自炊自体に抵抗はなく、会食がない日は会社帰りに適当な食材を買い、調理とは言えないような調理をして食べるなど、手探りながらも楽しんでいた。
そんな時、この本に出会う。

食べ物にお金を掛けた方が、中長期的に自分の美と健康に繋がる

「You are what you eat」という言葉がある。
直訳すると「あなたはあなたが食べたもの」になるが、私は「人間は食べものによって作られる」「健康も美も食べ物次第」と理解している。
この本を読み、頭の中が前にどこかで知ったこの概念でいっぱいになった。

例えば、著者は言う。
「高いお金を払う割にあまり効果の期待できない化粧品よりも、いちばんいいコスメティクス、それが食べ物です」
なるほど外側から塗りたくるよりも内側から浸透させた方が良いのか!と知り、月々の支出費目の配分を見直すきっかけになった。
スキンケア用品や化粧品を買うより、新鮮なフルーツや野菜にお金を掛けた方が中長期的に自分の美と健康に繋がると学んだのだ。

また著者は言う。
「エンプティカロリー、『栄養の砂漠』というような状態。カロリーはとっても、まったく栄養素がとれていないという末期的な状況です。お酒、お菓子、清涼飲料水、ファストフードなどがその最たるもの。それではいくら摂取カロリーを抑えても、やせる身体にはなりません」
食事を選ぶ際に重視すべきはカロリーを低く抑えることではなく、必要な栄養素を多く摂取することだと知った。
判断基準を変えただけで、自然と体重が7kg落ちたのには驚いた。

食材選びから自分を作れる、プロデュース出来ることが新鮮だった

いずれも今思えば当たり前のことなのだが、当時の私は雷に打たれた気持ちがしたのを覚えている。

つまるところ、それまで実家暮らしだった私には、有り難いことに外食を除いて食事を自分で選ぶ、ましてや作る機会がほとんどなかったため、食材選びから自分を作れる、プロデュース出来ることがすごく新鮮だったのである。
そして結果的に肌つやが良くなる、体重も落ち気持ちが明るく晴れやかになるなどの変化も伴い、「You are what you eat」「I am what I eat」を実感することが出来た。
この、自分で自分を変えた経験が、思い立ったら私は何者にでもなれるのだという冒頭の揺るぎない自信に繋がっている。

自分の資産であるお金、時間、知識、そして興味関心を何に投じるかが重要。
丁寧に取捨選択を繰り返すことでなりたい自分になれる。
私にとって「世界一の美女になるダイエット」は、それを教えてくれた本だ。