私は去年、フェミニンという言葉をなによりも気にしていた。
それは、私の元彼の影響だ。
私は去年、彼にこっぴどく振られた。彼はイタリア人で、20代前半の頃に留学したときの友達の弟だった。
だからこそ信頼していた部分が大きかった。それが何でこんなことに……?
失恋した女性全員が思うことであろう。

「君よりフェミニン」とフラれた。その意味は「胸が大きい」

彼との連絡ツールはLINEだった。しかし、彼は日本人ではないので、他にLINEで連絡をとっている人もいなかったのだろう。ある日、彼は突然LINEを辞めた。
連絡がとれなくなって焦った私は他の連絡ツールで彼に問い詰めた。
そしたら返ってきた返事が、
「ほかに女ができた。君よりずっとフェミニンな子だよ」
だった。
この彼が意味するフェミニンは、「胸が大きい」を意味するフェミニンだ。なぜなら私は彼にせがまれて以前に上半身裸の写真を彼に送っていたからだ。
私は彼にこう言われてフェミニンの意味を調べた。ちゃんと知りたかった。

フェミニンとは女性らしいことを指す言葉。
こう思った。
私は胸が小さいからフェミニンではないのか?
私は女性としての自信をすっかり失っていた。
豊胸をしたかった。しかし、彼の言ったことを気にして自分の身体にメスを入れるのも嫌だし、何より悔しい。
彼の思う、「胸の大きな女性の方が魅力的」という考えを肯定することになる。それを覆したかった。

変わるために前を向き、声を出し、私は絶対あきらめない

と言っても、どうやって覆せばいいのだろう。
日本の世間一般でも、胸の大きな女性のほうが魅力的だと思っている人はたくさんいることだろう。
しかし、考えてみたら男性達は、人の容姿のことをとやかく言えるくらい、自分達は完璧なのだろうか?
世間一般の男性達は、言うだけ言って後は知らんぷり。自分達が言われることも少ない。
女性として生まれただけで大変なことがいくつもある。彼らには知り得ないだろう。

ふと考えた。人種問題にも同じことが言えるところがあるのではないか?
他の問題に転換して申し訳ないが、黒人の彼らは街を歩いているだけで逮捕され、拷問され、殺される。それがどれだけ怖いことか。
女性として生まれただけで……。
前を向いて生きていく、それしかないのかもしれない……。
そっちの方がずっと生きやすい。
変わるために必要なのは、声を出すこと。
自分達がどれだけ理不尽な思いをしているか、「声を大にして」世間に伝えることだと思う。
やめてはいけない、やめないかぎり、きっと何らかの結果は出るものだと思っている。
だからこそ、わたしはこの国で「おばさん」と呼ばれる年齢を目前にしても、まだ叶えていない夢を諦めていない。
Never ever give up! これがわたしの座右の銘だ。
この国が生きやすい国になるよう、行動すべき時だ。私たちは皆幸せになるのだ。

私は豊胸をしない決断をした。