楽しみは人と交流すること。その使い道が消えた

コロナ禍になる前は、これといった趣味もない私のお金の使い道といえば、飲み会、旅行、当時付き合っていた彼氏とのデート代といった交際費がほとんどだった。
2019年、WEB広告業界の営業として社会人デビューしてからは特に、貴重な休みは誰かと一緒に少しでも楽しい体験をしないと!という謎の焦燥感の元、お給料はほとんど交際費に消えていった。
楽しいことは人と交流すること、交流するためにかかる費用はどれだけ使ってもOK精神だった。

しかし、2020年新型コロナウイルスが流行しはじめ、外出自粛のため誰かと会うことができなくなり、交際費の使い道と楽しみを失った私は、あろうことか貯金ではなく電化製品に資金を使うことにしたのである。
購入品の例を挙げると、乾燥機付きドラム式洗濯機、圧力鍋、ロボット掃除機、プロジェクター、タブレットなどだ。

私の仕事は、それなりに勤務時間も長く、平日は毎日仕事とご飯を食べて寝る以外にあまり手が回っていない状況だった。
溜まる洗濯物、そこら中に落ちている抜けた髪、スーパーの半額弁当……。
平日はとにかく時間がないし、私自身ズボラな性格のため今までは気にならなかったが、ずっと家にいるとよく目につき、気になってきた。
その打開策として、私は電化製品に頼ろうと思ったのだ。

自炊に挑戦。家事を家電に任せて余暇の時間ができた

まずは手始めにロボット掃除機と、乾燥機付きドラム式洗濯機を購入。毎日落ちる髪の毛もロボット掃除機に頼り、洗濯も乾燥もすべて機械がやってくれる。
そうするとスーパーで半額になった味気ないお弁当を買わずとも、自分でご飯を作る時間ができた。
自炊なんてほとんどしたことがなかったけど、料理をしてみたいから、電気圧力鍋を買って初心者の私にとっては挑戦的な筑前煮を作ってみたりした。

衣食住に関わる基本的な事は電化製品に頼り、余裕を持って過ごすことができるようになったので、自分の自由な時間がつくられるようになった。
そうすると次はその時間をどう過ごすかといった部分になり、タブレットやプロジェクターを購入し、絵を描いたり、映画を見たりすることをし始めて、ひとりで余暇を楽しめるようになった。
初期費用はかなりかかったが、今まで誰かと過ごすためにしかお金を使ってこなかった私が、自分が心地よく生きるためにお金の使い道を変えたことで、自分で自分を楽しませることを身につけることができた。

「誰かが楽しい気持ちにしてくれるかも」と期待していた

ちなみに、1行目に書いた“当時”の彼氏は、浮気したりお金にだらしなかったり散々だったが、“楽しい”時間を提供してくれるからと依存し、ずるずる付き合い続けてしまっていた。
しかしお金の使い方が変わり、生活に余裕ができ、自分で時間を楽しめる力がつくと、自然と別れる決心がついて無事お別れすることができた。依存からの脱却に成功した。

過去の自分は人と交流することで、誰かが何か楽しい気持ちにしてくれるかも、といった、人に期待していたことにも気がついた。
でも今は少し余裕のある生活のおかげで、自分で“楽しい”を見つけられるようになり、自立して過ごせている。

お金はあくまで何かをする・得るための手段である。
勿論過去誰かと一緒に過ごすための交際費としてお金を使ったことで、得られたことも沢山あった。
その土台があった上で、お金を、より自分が快適に過ごすための資金に変え、自分の人生の過ごし方の手段を増やせたことは、自分にとって財産になったと思う。