政治的な発言をいとわない私のTwitterアカウントには、時たま攻撃的なリプライが飛んでくる。

開いてみると、ほぼ確実に匿名アカウントからだ。

そんな時、私はいつも思う。「あなたの本名は何ですか?」

穏やかな日常に飛び込んでくる攻撃的なリプライは、私の心を急速に凍らす。
いきなりカッターで斬りつけられたような、きりきりとした痛み。

気にしなきゃいいと、頭でわかってはいても。ほんの一部の人による嫌がらせだと、知ってはいても。感じている心の冷えと痛みは、確実に存在しているのだ。

◎          ◎

どうしてこんなにも攻撃的な言葉を、他者に対して放ってしまうのか。
一体何が目的でそんなことをするのか。悲しみの後に、怒りがふつふつ沸いてくる。
より傷ついてしまうかもしれないとわかっているのに、指は、その匿名アカウントのページに飛んでスクロールしてしまう。罵詈雑言で溢れかえっている。なぜこんな言葉を...と思う一方で、何かを必死に守りたいような様子も垣間見えた気がした。

私が見ているのは、攻撃的な言葉たちに深い影を落とす、その人が抱えている傷なのかもしれない...と思う。だからと言って、攻撃的な発言をしていいとは思わないけれど。

ひとしきりスクロールし終わって残るのは、嫌な気持ちを抱えた自分だけ。こんなことをするくらいなら散歩でもすればよかった、と布団の上でぐったりする負のループ。悲しみと怒りとしんどさが、ぐるぐるぐるぐる渦を巻く。

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どんなスイーツが好きか?犬派か猫派か?
そんな話をしていれば、何も起こらないのに。
ちょっとでも政治が絡めば、すごいことになってしまう。
どうして。
どうして。
そういえば昔、私が政治的な発言をするからという理由で縁を切った友達がいたな...。
思い出さなくていいようなことまで思い出す。
心がきゅうっとする。どうして、そうなるのか。

ただ、ぐるぐるしたわだかまりの中に確実な思いが1つあって。

私は決して黙らない。
匿名アカウントからの攻撃が怖いからもう何も言わないでおこう...なんてごめんなのだ。
むしろ、人が声をあげなくなった先に待ち受けてる社会ほど怖いものはないと、私は思う。
だから、私は声をあげ続ける。

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同じように、政治的な発言をする活動家のTwitterアカウントを見ていると、私とは比にならないくらい、日々攻撃的な言葉がリプライに多く並んでいる。そうした言葉は時に人を死に追いやってしまうということが、忘れ去られた光景を突きつけられた気がして、言葉にならない。私はそっと目を閉じる。ぽつりぽつりと浮かぶ顔に祈り、そして願う。「どうか、生き延びて……」

どうやら私は、体温のないコミュニケーションがめっぽう苦手らしい。どこの誰かさっぱりわからない人からの、攻撃的な言葉。どうしてそんな言葉を放ってしまうのかを探る糸口も覆ってしまう匿名性のもとに、立ち尽くすほかない。

私はやや怒りっぽく思う。
面と向かって同じ言葉を言えるもんなら言ってみろ。
匿名アカウントでもなんでもない、生身の人間が向かい合って、対話する未来を私は望む。攻撃的な言葉の暴力はやめにしないか。

匿名アカウントから攻撃的なリプライある度に思う。
匿名性を盾にしないで。
本名を教えて。