毎日、妄想して生きている私。気づけば中高のころから抜けない癖だ。つまらない授業や学校で憂鬱に感じたときは、その場を早く乗り切るために妄想している。自分でも気づけば妄想していて、普段こんなことを考えていたかなと思わず吹き出してしまいそうになっていた。そんな時間は、私にとって至福のひと時だといえるかもしれない。

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特に定期考査のとき、早く問題を解き終わったときはシャーペンをもったまま教室を眺めながら、じっくり妄想する。朝起きてスマホを開けば、画面越しにずらっと並んだネットニュースを見て私の一日が始まる。
「人気女優の○○が3歳年上の声優○○と半同棲」こんなニュースが目にとまるたび、何だかワクワクしてしまう自分がいる。芸能界という輝かしくも厳しい世界で生きている人々は、一体どんな恋愛をしているのか。今、人気絶頂の芸能人が恋愛に時間を費やすほどネットニュースの餌食にされてしまうのは確かだけど、その心情を想像してみたい。一般人とは違って、隠れてひっそりと愛を育むことは正々堂々と恋愛していくよりスリルがあって楽しいのだろう。そう考えた私は、ますます他人の恋愛を妄想しているときが夢見心地で気分よくいられた。いつか私も世間を振り回すような大恋愛をしてみたいと、妄想を膨らませるうちに憧れをいだくようになっていった。

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最近では、推しブームのなかで「推しと結婚するのも夢じゃない。」と話題になっていたこともある。推しが結婚したら死にたいし、本当のパートナーは自分だと思うことで気が楽になったりもする。こうして妄想に救われることは多々あるのだ。それも憂鬱だなあと思う時間に、さらっとやってしまえば、あっという間に時間が過ぎていった後は私にとって天国といってもよい時間が待ち受けている。

「人気アイドルグループの○○とファッションモデルの○○が結婚間近と報じられた。」こんなネットニュースに推しの名前があったとき、発狂するまえに妄想して落ち着かせることもショッキングなニュースを乗り切る一つの手段なのだ。二人はどこでいつ知り合い、いつから交際に発展したのか。ゴシップネタでは必ず取り上げられる疑問を、どこまで妄想の世界を広げられるかが勝負である。ネットニュースの記者なんかに負けない斬新な妄想ができたときは、私は心のど真ん中でこっそりガッツポーズをしてみせる。
彼らが互いに芸能界でデビューするまえからの仲で、実は幼馴染だったとしたら、このスクープはもっと面白くなるのになあと思ったりする。そんな空想の世界は自分にとって楽園であり、どこまでも広がる大地でゴロゴロと昼寝できるくらい最高な時間が続いているみたいだ。

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ただ妄想しているのではなく、夢を持っていたいをモットーに中高時代は苦手な授業やテスト期間を乗り切っていたし、「成績が悪い」「赤点とるな」というプレッシャーをはねのけるためにも欠かせない趣味でもあった。不思議と妄想を始めると止まらなくなって、まるで物語を書き上げたかのような達成感を覚えるときもあるし、自分のなかに世代が違う人々が集まって真剣に話しているようにも感じた。自分の心の奥でコミュニティーが活発に共鳴しあっているのだろうか。妄想には、そんな大きなパワーさえも感じることができる。まるで私の人生は妄想のために生き、妄想に生かされている。近頃、そう確信するようになってからはもっと妄想を誰かと共有できたらいいなあと、欲張りな考えを持つようになった。
 しかし、妄想は自分の秘密の宝箱のなかにこっそりとしまっておけるものだからこそ、いつでもどこでも自由自在に夢を託すことができるものなのかもしれない。これからも、もっと夢の世界に迷い込んでいきたい。