真夜中でもギラギラしている東京が、私は今も大好きだ。
高校が渋谷にあったから、その頃から私の放課後のお庭は、新宿・渋谷になっていた。
大学4年間は大阪で過ごしたが、やっぱり東京が恋しくなって、「就職は絶対、東京でする!!」と、強く心に決めて周りにも宣言していた。
そんなことも現実になり社会人になって、仕事終わりに東京で上司と飲む機会が増えた。
歳を重ねるごとに、大人びていく東京での過ごし方に、自身の心の成長さえ感じられるような。毎週金曜日のそんな上司や同僚とのひと時が楽しみで、忙しい日々の業務も乗り越えられた。

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高校入学前のオリエンテーション。
知人がいない不安と寂しさを少し覚えながら、制服採寸と校内見学を楽しみに母と渋谷にある高校へ向かった。
「これから3年間、ここが私の通学路になるんだ……」と、映えない私の地元と比べてワクワクいっぱいであふれていた10年前のことを、昨日のことのようにさえ感じる。
放課後は、「今遊ばなきゃ、もったいない!!!」とばかりに、部活動には見向きもせず気の合うクラスメートと遊び倒した。
テスト前やテスト期間になると授業が早く終わることをいいことに、テスト勉強そっちのけで、優雅にランチやショッピングにより一層忙しくしていた。
時には、代々木公園でピクニックをしたり、喫茶店でただただ恋バナに花を咲かせたり。
何も考えずに、怖いもの知らずだった高校生の頃が、今となっては羨ましいほどに。
受験生になり、予備校も高校に近いところに通った。
他校の新しい友達が出来ると、休日も自習室に通い詰めた。
「お互い受験が終わったら、春休みいっぱい遊ぼうね!」と、口約束を交わして。

大学は、自分の意思で大阪で1人暮らしをする覚悟を決めて進学した。
大阪にあるお店も東京と変わらないのに、休日になるとなぜか東京が恋しい。
1人暮らしを始めて大阪に来て初めの半年間は、東京が恋しくて恋しくて、気付くと母や友達に泣きながら電話をしていた。
「早く長い夏休み/冬休みにならないかなぁ……」と、家族・地元の仲間や高校の友達にも会える東京帰省が1番の楽しみとなっていた。
年に3・4回、ただの週末でさえ、予定がなければ新幹線に飛び込んでトンボ帰りしたり。
3年生になると、東京で就職することを目標に目の前の課題に取り組んでいた。
そうして念願の東京での就職も無事叶えた。

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そして3年後、大学留学中に出会った旦那と結婚して、再び大好きな故郷の東京を離れた。
海外移住した今は、年に1度、東京に帰れるか、帰れないか……。
海を越えてだいぶ遠くに来てしまったようだ。
東京のようなギラギラが、今この住んでいる街にはなくて。
ビーチが目の前にあるのは嬉しいけれど、私の好みの街とはちょっと違う。
なんでもある、いつでもどこでも楽しめる東京が私は恋しい。
年に1度、帰れるかどうかの東京。
物理的な距離はグンと離れてしまっても、私の東京での想い出は、いつまでもギラギラ心の中で輝き続けている。