実家にある私物を断捨離しようと思い、教科書や好きだったアイドルグッズなど、全て整理をしていた時だった。

服も整理しなければと思い、家族共有のクローゼットを開けた。
家族全員分あるため、量はえぐいほどある。
でもここで整理しないとだめだと思い、自分の服を取り出した。

今の自分に合わない柄や丈や、なんでこんなデザインを可愛いと思って購入したのか当時の自分の感性に引いたり。
断捨離って過去の自分と向き合う時間だなと思いながら、いるもの・捨てるものを分けながら進めていた。

学生時代の制服が出てきた時には思わず「懐かしい」と声がでた。

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中学校の制服も高校の制服も卒業してから10年以上は経っているのに残していた。
中学校は学年ごとにカラーがあって、妹と私でカラーが違ってそれもなんだか懐かしくなったり。
高校の制服は都立の割に可愛くて進学も制服が決め手だった。
夏服と冬服とスカートのデザインが少しだけ違っていて、今でも見ると母校の制服が一番とニンマリしてしまうぐらいお気に入り。
大学時代に制服ディズニーするために実は残していたが、もうアラフォーなのにいつまで持っていても意味がないと思い、写真だけは残そうと写真を撮った。
捨てるのは勿体無いと思い、家には茶化す妹もいなかったのでこっそり一人で最後だけ着てみた。
一瞬だけならまだいけるのでは?と思った自分が恥ずかしいが、なんだかテンション上がってしまうのも断捨離の楽しみかもしれない。
最後に着て満足した私は、思い残すことなくゴミ袋に入れた。

子供の頃の服が出てきた。
子供むけのファッションブランドで、小学校は誰もが着ていたブランド。
いくつかあるブランドで、私が好きだったブランドのスカート。

どう考えても穿くことはできないスカート。
でもそれはゴミ袋に捨てることはできない。
なぜなら、数年前に亡くなった祖母が買ってくれたスカートだからだ。

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当時地方に住んでいた私は一人で祖父母に会いに帰った。
また戻る時に近くのデパートで大好きなブランドのお店を見つけた。
一目惚れして、従姉妹もいるのにも関わらず欲しいとゆすった。
どんなやり取りをしたのかは覚えていない。
きっと私だけに買ってあげるのはなんだかな、と思ったと思う。
だけど、仕方がないな〜という顔をしながらも祖母は買ってくれた。

今でも覚えている。バーゲンでもないちゃんとしたお店で購入したのもあって、少し高い。そんな服を私だけ買ってあげたのは違うでしょうと、母親に怒られた。(きっと他にも言われたと思う)
幼いながら申し訳ないと思っても、一目惚れした服を手放したくなかったというわがままと、「祖父母なら」と親には言えない欲しいものを伝えやすいと思っていたのは大きいかもしれない。

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そんないろんな思い出があるスカート。
私のわがままで買ってもらったスカートはどうしても捨てられない。
母親に「おばあちゃんに買ってもらったスカートは捨てることはできないね」と見せたら、当時のことを思い出したのか、苦笑いで「そうね〜それは残してて欲しいな」と言われた。

いつか子供ができたら着させることはできるかなと思いながら、そっとクローゼットに戻した。

記憶のない赤ちゃんの頃の服や、自分のお金で購入したちょっといい服や、親に買ってもらった服とか、可愛いと言ってくれた服もたくさん思い出がある。

たくさん着てきた服の中でも、もう穿くことはできないスカートは一番の思い出である。
祖父母との思い出の一つだからだ。
大人になって年月を重ねていくと、祖父母との思い出がぼやけてしまう。
もう話すことも声も聞けない。顔を合わせることもない。
だけど、このスカートが私と祖母との繋がりを唯一感じるものだからだ。

わがままな自分には突っ込みたくなっちゃうけど、あの時の自分に感謝。