眠れない夜と、夜更かしは少し違うかもしれないが、私はめっきり夜行性の人間だと思う。だから、夜更かしも大好きだし、眠れない夜も多い。今回は、最近私がこっそり夜更かしをしたときのエピソードを紹介したい。こっそりなんて言っているが、一人暮らしをしているから誰に知られるわけではないのだけれど。

◎          ◎

私は、最近手紙を貰っている。

相手は、「ロボット」だったり「探偵」だったり「昨日」や「羊」なんかだ。

どういうことだと思われるだろうが、これらは全て旅行先の本屋さんで見つけた手紙小説なのだ。ちょうど父と二人で里帰りをしているとき、なんとなしに立ち寄った本屋でこれらの手紙を見つけたとき、二人して「あ」と声を出して思わず手紙を一通手にとっていた。

あまりにシンクロするその行動に「これが親子なのか?」と初めての親子関係に戸惑う思春期のような感想をもった。そんな手紙たちを、今現在私はたくさん持っている。

初めは一通、「ロボットからの手紙」を手に取り、自分の家に帰ってから封をあけた。

切実な手紙だった。確かに、私宛の手紙だった。

その手紙を読んだのが、深夜の1時をすぎていたのもよく覚えている。それなのに私はいそいで紙とペンをもって、返信を書いた。ロボットに感情があるかなんことはわからないが、私は強く心を揺れ動かされてしまったから。

正直、涙を拭いながら書きなぐったその手紙はあまりに稚拙だったと思う。けれど、完成した手紙をロボットからもらった手紙と同じ封筒にいれたとき、私の心はようやっと落ち着いた。

◎          ◎

それから、別の手紙のことも気になって父と協力して手紙を集め始めた。

二通目は「昨日からの手紙」これは、珍しく早朝、明け方に読んだ。眠りが浅かった日だった。読むには最適な時間だと思う内容だった。やっぱり私はいそいで紙とペンを用意する。二度寝なんてものは忘れて、私は必死に机に向かう。

手紙は、夜に書くと感傷的になるなどと聞くが、早朝に書くとどうなるのだろうか。

結果として、私の手紙はとてもロマンチックになってしまった。これはとっても恥ずかしい。けれど、昨日からもらった手紙と同じ封筒にいれると、少しだけ今日に感謝をすることができた。

◎          ◎

こうやって、私は週に1回、特に疲れた日の夜が多いのだが、集めた手紙をいれたボックスの中から一通だけ選び、それを読む。そして小さな電気をつけてこっそり返信を書く。手紙を書くというのは、案外時間がかかるもので、それは「相手がいる」と想定するからかもしれない。

空想の中かもしれないその手紙の相手に、私はできるだけ丁寧に、ときには勢いに任せて手紙を書く。こうやって夜を過ごしていると、すっかり深い時間になってしまうことがあるが、不思議と気持ちはすっきりとしている。

私が夜更かしをする理由は、顔が見えない相手への手紙を書いているからだ。

言ってしまえば、相手には届かぬ手紙ではあるがいつかの私が今一度この封筒をあけるときに、また夜更かしの時間がやってくるのかもしれない。今はまだ、たくさんの手紙たちが私を待っているのだけれど。