恐らく人生の折り返し地点を過ぎただろうおじさん達が集まって、この国をどうしていこうか知らない間に話を進めてる。

「たられば」ばかり喋っている私より、はるかに行動力があって未来に希望を見出そうとしてるんだろうなとぼーっと画面を見ていたら、再び「たられば」の空想が始まった。

もし私がこの国の長だったら…、今すぐ実行したいことが3つある。

いや、ほんとは3つどころじゃない。給料上げろ~とか、生理の時くらい在宅にさせろ~とか色々どうしようもない願望は溢れて止まらない。けれど、この3つだけは今すぐ実行して国民の精神的健康を守りたい!と、人生何周したらなれるか分からないその地位に就いたつもりで提唱したい。

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1つ目は、週休三日制にすること。

おいおい、1つ目からいきなり私利私欲にまみれた提案だなぁって思った人もいるだろう。 でも全国民にアンケートを取ってほしい。今のままでいいか、週休三日がいいか。

後者が勝つ自信は大いにある。私が生まれる前は土曜日も学校があったと聞いたことがあるが、その体制が変化したのなら二日から三日に変化するのも不可能じゃないと思う。私の今の会社は土日祝日が休みで、だからほとんど月に一回は一週間に三日休める週がある。

それは三連休の時もあるし、間の平日が休みになる時もある。そんな休みの日にSNSを開くときまって目にする投稿がある。それは「やっぱり五連勤は人間のキャパに合ってないと思う」とか「五日分の疲れがたった二日で取れるわけないだろっ」とか、そういう不満や愚痴の数々。大拍手。大共感。心からの握手。君とは通じ合えそうって思いながらまた画面をスクロールする。

正直、学生の頃から思っていた。ずっと運動部に所属していた身からすると、土日休みは休みじゃない。大会やら練習試合やらであっという間に月曜日を迎えてしまう。何度、台風の直撃を祈ったことか。社会人になってシフト制や土日じゃない週休二日制も経験したけど、まあ驚くほど疲れが取れない。大抵ベッドの上で横になったまま一日は終わるし、仕事の前日の休みなんて出勤までのカウントダウンでしかない。もちろん今のままで充分って人は働けばいいけど、私みたいな属性の人は5:2より4:3の割合じゃなきゃ「普通」の生活を送ることで必死だ。

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2つ目は、選択的夫婦別姓制度の導入。

私は夫婦別姓大賛成である。というのも、この「かがみよかがみ」も選択的夫婦別姓について調べていた際に辿り着いたことがきっかけで、エッセイに触れ始めた。その経緯は当時の恋人から、「姉がみんな結婚して、男は自分しかいないからいつか名字を継がなきゃいけない」と話され、どうしても彼の名字だけは好きになれず将来を考えて調べまくっていたからだ。

ちっぽけな悩みかもしれないけれど、たかが名字、されど名字。そもそも男だからって何?なんで女性側が変えるのが当たり前なの?子供の名前の話になった時に、「まあ女の子は将来名字は変わるからね~」って普通に言われると、「その価値観ヤバっ」って声に出しそうになるのをいつもぐっと堪えている。

夫婦別姓反対派の人の意見で家族の絆が薄まるっていうけど、名字ごときで薄まるんだったらもともと深い絆じゃないだろうし、同じ名字でも絆なんてない家族なんてざらにいる。授かり婚で悪阻と闘いながら女性が手続きに行く話は何度聞いても納得がいかないし、紙切れ一枚の書類で同じ名字にすると契約したカップル以外は事実婚になるなんて甚だおかしい。別に家族全員別姓にしろなんて言ってない。でも、選択肢すらないこの国はおかしいと思う。

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最後の実行案は、同性婚が認められること。
ほんとにごめんなさい。私が神だったら、今すぐにでも同性婚を認められるような社会を作るのに。

私は今現在マジョリティとしてくくられている内の一人だけど、私からしても同性婚は認められていいと思う。というかなぜ未だに認められていないのか意味が分からない。私が知ってる同性カップルは見ていて心から微笑ましくなるようなカップルばかりだし、恋人作りにアプリが定番となるほど出会いが難しいこの時代に、いわゆるマイノリティとされている人同士がパートナーと出会えるなんてほんとに素敵なことだと思う。

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書いているうちにだんだん熱が高まってきたから、少しばかり過激に聞こえるかもしれないが許してほしい。同性婚を認めない人はたまたま多数派として生きてきただけで、もし自分が少数派だったらってことは考えないのだろうか?もし異性愛者がマイノリティな世界で生まれたら?大好きな人とカップルになれてもこの国では結婚できませんと言われたら?

そんなのは「たられば」だと、小学生の道徳の教科書に載っているような話などもう響かない大人になってしまったのだろうか。

誰にも迷惑をかけてないのに、夫が男性・妻が女性のカップルしか認められないなんて、じゃあ「基本的人権」は?「法の下に平等」という意味は?プリンセスが二人でもいいじゃないか。

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最近、私の周りではベビーラッシュが続いている。

一人の人間が誕生したことをリアルに実感すると、この子の人生が始まるのに今の世の中で希望を与えることはできるのだろうかと考えてしまう。

正直、私一人が発言したところで何も変わらない。現にこのエッセイに自分の気持ちを書き起こしただけで、手を拱いたままである。

それでも、こんなセンスのない伝統を当たり前にしたまま次の世代に引き継いだら、私もナンセンスな人間の一人となる。

自信をもって次の世代にバトンタッチできるその日を、私はこれ以上待ちたくない。